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「う〜ん、さすがはブルーアイズ・マウンテン香りとコクが違う…このように香り豊かなコーヒーを気軽に楽しめるとはまったく、いい世の中になったものだ。おい、バリスタおかわりだ!」
「は、かしこまりました」
「む、見ない顔だな?」
「はい、いつものスタッフが急な休みになりまして他の支店からヘルプでまいっております」
よくもあんな口実が出てくるもんだ
昨晩のうちに考えていたならすっごい面白いな…くくっ
「そうか、どうやらしっかり働いているようだな!今日もまた、この店のブルーアイズは格別の味だ」
「おほめにあずかり、感謝の極み。どうぞ、ごゆっくりとお楽しみくださいませ」
こっちに向かって来ている時のプラシドの顔は般若のような表情だった
「ひっ…」
「フン、鼻持ちならない傲慢な男め自分を何様だと思っていやがる」
「ぷ、プラシド…顔が……ん?あれ、元キングか」
「ああ、かつてはキングと呼ばれた男だそうだな。そして、赤き竜のシグナーの一人。今回は、ヤツとヤツのデータをスキャンするというのが目的だ」
「ふーん」
あんなふんぞり返っている奴がシグナー…か……人は見た目によらないってことか
「貴様に言われるまでもない!」
「うぇっ!なんだよ!!」
静かだと思ったら!
「…いや、何でもない。貴様も突っ立ってないでしっかり働けという事だ」
「そ、そう…」
心拍数が一気に上がったよ…
「おい、おかわりだ!」
「またか…あの男、いったい何杯飲むつもりなんだ」
「確かに。もうすぐ二桁行くぞ」
「おい、ジャック!」
「ほう、あれは…」
小柄な男が早足で元キングの所へ向かっているところだった
「ジャック、てめぇ…!」
「おお、クロウ、お前もどうだ?この店のブルーアイズ・マウンテンは、絶品だぞ」
「ふざけんな!毎日働きもせず、無駄遣いばっかりしやがって!オレたちがWRGPに出場するためには、金はいくらあっても足りねぇんだぞ!」
「…騒がしいな」
無言でこくりと頷いたプラシドがなんか可愛かった
「何を言う。オレは、そのWRGPのために新たな戦い方を考えようとこうしてコーヒーにヒラメキを求めているのだ!これは経費として認めてもらう!」
「んなもん、認められっか!
1杯3000DPなんて、コストかかりすぎだろ!いつまで王様気分でいやがるんだ、現実を見ろ!」
「何だと!?」
「てめぇがキングだったのは、昔の話だ。今じゃ誰も、ジャック アトラスなんざ憶えちゃいねえ。それが働きもせず、毎日ぶらぶら遊んでやがって!この世界遺産級のワガママ小僧が!」
「おのれ、言わせておけば!取り消せ!謝罪しろ!」
「…さすがに煩わしいな」
ぎゃいきゃい騒いでいる二人にプラシドが止めに…かないや、違うだろうけど…とにかく行った
「…お客様。お客様、どうぞお静かに。他のお客様のご迷惑になってしまいます」
「黙っていろ、貴様などに意見されるまでもない!」
「お、おい、よせ、ジャック!」
「どうしても続けたいとおっしゃるのであれば、私どもが、タッグデュエルでお相手いたします」
「デュエルだと?このジャック アトラスに、デュエルで挑もうと言うのか!」
「一流の給仕は、デュエルにおいてもまた一流でございます」
…プラシド、なりきりすぎじゃないか?
「面白い!貴様の実力が、このブルーアイズほどのものかどうか、オレたちで確かめてやる!」
「おいおい、オレもやんのかよ…」
「それでは、はじめましょう」
俺の部屋でやったように元の姿に戻った
…はっ!これ、タッグデュエルだから俺もするのか
「いや、はじめるとしようか、シグナーども命を賭けた、タッグデュエルを!」
「あ、あんた、いったい!?」
正しい発言だな俺もまだ何者かは理解しきってないからなぁ
「うろたえるな、クロウ。少しばかり多芸なバリスタなど、このオレ、ジャック アトラスの敵ではない!」
でもまぁ、あいつを倒したらスカッとしそうだからいいか
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