小説 | ナノ


▼ /→end

「酷いです!」



「ごめんって」



「狡いです!」



私は食堂の入り口で端整な顔を思いっきり歪めて怒る姜維をとりあえず慰めていた。
『ね?ごめん』と手を合わせて謝ると、ちらりと私に視線を合わせた姜維は、諦めたように溜め息をつく。





「日にちを変えてくれたらよかったのに…明日とか…明後日とか…」



「そうだね。その通り。
姜維がそんなに行きたかったとは思わなくて…。
本当にごめんね?」





一生懸命姜維のご機嫌をとろうとしている私に『放っとけよ、拗ねてるだけなんだから』と半場、飽きれ顔の張苞が話し、隣にいる関興も大きく頷いていた。





「張苞殿も張苞殿です!
萌が共に行くとは、言わなかったじゃないですか!?」



「え?そうなの?」





じっと張苞を見つめる私達の視線にビクリと一度体を震わせた彼は『そ、そうだったかな〜』と怪しさ全開の態度で、そそくさと人が入り乱れる食堂の中に消えていった。





「まぁ、また行けば良い」




そう言って微笑んだ関興が姜維の肩をぽんっと優しく叩くと、彼は『はい…』と少し柔らかな表情に戻っていた。
















「どこに座ろうかな?」





そう一言呟いて張苞に続き、食堂に消えていく小さな背中。




「関興殿、今日だけは彼女の隣を譲れませんから」



「ああ、わかった」





きっと睨む姜維に関興はふっと笑った。

後書き

いつも沢山の拍手を贈って下さる温かい皆様、サイトへ訪れて下さる優しい皆様へのお礼として作りました。
以前にアンケートをとり、蜀の票が多かったため、今回も蜀メンバーになりました。
今回は徐庶、張苞、関興で。
私が徐庶の話を作りたかったので、今回は姜維がお休みということになり…姜維のお話を楽しみにされていた方には申し訳ないです。
私の拙い話で、お礼になっているかは微妙なところですが…喜んで頂けたら光栄です。
これからも末永く可愛がってやって下さい。
ありがとうございました!

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