×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

 いつも遊んでいる様につたを掴んで天馬たちの前に登場しようと思い、身体能力があまり良くないナマエを抱えてアクロバティックな動きで彼らの前に登場する
 落ちないように必死に僕にしがみ付いていたナマエが中々離れなくて、僕はこれでも良かったのだけれど一応みんなが見ているので背中を優しく撫でてあげればようやく一息吐けたみたいだ
 予想通り彼らは眼を丸くしておりエンシャントダークのみんなもこうして鍛えたのかと質問され、多少曖昧な返答になってしまったが僕がキャプテンになってからは大体こうして鍛えていたと思う

「僕たちはこの島で育ったんだ、だから島の地形は良く知っている、ここの自然と遊んでいれば君たちも出来るようになるよ」
「その割りにナマエはシュウにしがみ付いてたね」
「……私は運動神経そんなによくないだけ」

 天馬の言葉にナマエが不満そうに頬を膨らませた、初めて見るその表情に僕の中の何かがぞくぞくと奮い立つのがわかる
 僕の知らない彼女の表情を引き出すことの出来る天馬が羨ましいとも感じ、無意識にナマエの手を握っていた

 それからそれぞれこの森を利用してポジションに合った特訓をすることとなり、天馬は特別に僕と一緒に特訓することとなった
 両側から滝が流れ濡れている岩場をロッククライミングするというバランス感覚を養うものにした、ナマエが座って見ている中僕のアドバイスを聞きながら天馬が一生懸命バランス感覚を鍛えた


 ナマエがカイたちの練習に付き添うことになった日の夕刻に僕は天馬と二人きりで滝の岩場に座っていた、時代が変わってもここから眺める景色は変わらず綺麗だ

「子供のころ、よくここでこうして、夕日を見たよ」
「ナマエも一緒に見てたの?」
「? 何で?」
「だって幼馴染みなんでしょ? それに何か恋人同士みたいに仲良いし」
「ナマエは、そんなんじゃないよ」

 僕が一方的に好いているだけでナマエはそんな風に思っていないだろう、何十年もこの想いが色褪せていないことは奇跡に近い
 今の状態は僕にって好機でもあったがそんな資格はないと割り切っている、それに僕がここに留まっているのは強さを求めるためだけだ
 まあそんなことを天馬に言ったところで仕方が無いことなので適当にごまかしたら話は違う方向へと進んでいて、昔サッカーに似た競技で全てのことを決めていたという話になった

 僕は天馬にほとんどを話した、弱い兄のせいで犠牲になってしまった妹と助かった兄の想い人の話をした
 何故天馬に話したのかはわからない、もしかしたらただ誰かに聞いて欲しかっただけかもしれない

「この島は呪われているのかもしれない、サッカーに」
「サッカーは人を呪ったりしないよ」
「するさ!」

 だからあんなものがこの島に出来たんだと高い建物を指差し、そこからは天馬と口論となった、天馬の言い分は綺麗事ばかりで結局強さが全てなんだよ

「強くなくちゃ、価値が無いんだ!」


<< 戻る >>