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 次の日、私は春奈ちゃんの声で目が覚めた、胸元にいた木暮くんはもういなくて、寝過ごしちゃったかと思ったがまだ早い時間だった
 声のする方へ行けばサッカーで見返してやりなさいよという声がしてよく見れば春奈ちゃんが木暮くんに説教をしているところだった

「春奈ちゃん、木暮くん、おはよう、何してるの?」
「ナマエ姉!」
「あ、ナマエさん! おはようございます! 実はですね……」

 春奈ちゃん曰く、悪戯の仕掛けをしている木暮くんを見つけて悔しいならサッカーで見返してみなさいと言われていたらしい

「うん、いいね、その案」
「ナマエさんもそう思いますよね!」
「……ナマエ姉がそう言うならやってやらないこともない」
「そうと決まれば早速特訓よ! というわけでナマエさんお相手していただけますか?」
「ん、いいよ」

 それから漫遊寺のグラウンドでサッカーの特訓をすることになった、ルールはシンプルで木暮くんが私のキープするボールを奪うというものだ
 私も白恋にいれば士郎と肩を並べるストライカーなのだ、木暮くんにボールを奪われることは無いだろう
 特訓が始まって小一時間が経ったがまったくと言っていいほど小暮くんがボールを奪える気配は無い、はっきり言って素人同然、まあまだ一年生だからこれからの成長に期待ってところね
 しかし、小さい小暮くんがここまで動けたのには驚いた、失敗しても向かってくる不屈の精神、何度でも何度でも向かってくる、しかも一つとして息を乱していない
 これは一種の才能だろう、小暮くん自身の努力の賜物でもあり才能でもある、まだ一年生なのにすごい

「一旦休憩にしましょう!」

 まったく進歩のしない攻防が続く中、春奈ちゃんが二人分のタオルを持って声を掛けてくれた
 私はしっとりと額を滴る汗をぬぐい未だグラウンドでボールと戯れる小暮くんを見る

「ナマエ姉早く! いつまで水飲んでんだよー!」
「はいはーい、それにしても小暮くんは凄いわね」
「何がですか?」
「二時間近くやってるのに全然スピード落ちてないのよ」

 まあ私もそれなりに体力はあるからスピードは落ちていない、つもりだけど、小暮くんは休憩もなしにボールを追いかけている
 本当、ちゃんとサッカーの練習をすれば将来は凄いプレイヤーになれる、なんて考えていたら小暮くんに急かされ私は再びグラウンドへ、そういえば士郎たちはもう練習始めているのかしら

「空が……!」

 辺りが暗くなり空を見上げれば一面が黒く覆われており、エイリア学園が来たことを知られていた
 サッカーグラウンドへ走っていけばそこでは漫遊寺のサッカー部とイプシロンが試合をしていた
 それとなく士郎の横に行けば、居間までどこにいたの、と小声で怒られた
 宥めるように士郎の手を握ればしぶしぶといった様子で許してくれる、頬がほんのりと赤い

 あと六分で片付けてやるというデザームの宣言通り、漫遊寺は六分で負けてしまった


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