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 ジェミニストームとは比べ物にならない強さを見せ付けられた俺たちは漫遊寺の校舎を破壊しようとしたイプシロンに勝負を挑んだ
 しかしいざ勝負となると目金と、木暮の落とし穴で足をくじいた塔子が出れなくなり、試合に出られるのは十人しかいなかった

「十一人目ならいます! 小暮くんが!」

 春奈の発言により木暮にスポットライトが当たる、当の本人は困惑しているようだが
 染岡と土門は木暮の参加には快く思っていないらしく遠まわしに反対するような言葉を漏らす
 そんなことないと春奈が反論している後ろで木暮がサッカーボールを持って震えている
 俺が十人でのフォーメーションを考えていると不意に基山が動いた、基山は木暮の元へと行くとその小さな体を抱えて自信満々に言い放った

「私は春奈ちゃんの案に賛成よ、小暮くんは良いプレイヤーになるわ」

 我が子を自慢する母親のような眼差しに俺を含め、全員が息を飲んだ、吹雪に至っては木暮くんめ、とこぶしを震わせている
 基山の発言に触発されたのか円堂が木暮の参加を受け入れ、監督も好きにすればいいと承諾し、晴れて十一人となった


 雷門のユニフォームに着替えた木暮に監督はDFに任命し、試合が始まる、実力に疑問があるが俺は春奈の言う木暮を信じようと思う
 MFの基山は吹雪と揃って楽しもうと手を振って木暮の緊張をほぐそうとしていた

 ジェミニストームに勝ったとはいえイプシロンの奴らには見下されており、俺たちを小ばかにするような発言が見受けられた
 三分で決着をつける、と腹立たしい発言の後に雷門のキックオフから試合が始まったが、木暮は動く気配が無い

 染岡と吹雪にマークが付いていてFWにボールが渡せない状態になってしまったが、こちらにもまだ手はある

「風丸上がれ!」

 俺の指示に従って上がった風丸からパスを繋いで一之瀬にシュートを打たせるが跳ね返されてしまう、その後吹雪がエターナルブリザードを打つも止められてしまった
 デザームの手からまっすぐに雷門側に飛んでくるボールを基山がカットし、パスを繋げシュートを打とうとするも止められてしまう
 くっ、これがイプシロンの力だというのか……!

「まもなく三分、我々は次の一撃をもってこの試合を終了する」

 十日後に再戦してやると言い放ち、さらにはそれまで生き残っていられるかな、と不敵な笑みを浮かべるデザーム
 どういう意味だ、と俺が声を荒げるとデザームは俺たちに向かってボールを蹴る、くっ、すさまじい威力だ
 そのボールに突っ込んでいった吹雪はあっけなく吹き飛ばされ、反射的に動いた基山に抱きとめられていた
 砂煙を巻き上げながら木暮に向かっていくボール、誰もが駄目だと思ったそのとき、木暮は壁山に蹴躓きバランスを崩した瞬間、ボールは木暮の足に引っかかり大きな風を巻き上げて止まった
 あれは偶然でできたものだがきっと凄いでフェンス技になるだろう、春奈や基山が言っていた意味がようやくわかった気がした


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