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「こんなとこで奇遇だねー」

 まずい、非常にまずい、今俺たちに話しかけているのは名前の親友の真琴椿、男より男前という奴だ
 こいつは名前が好きすぎるあまり名前の周りにいる男共を敵視している、特に恋人の俺は、虫を見るような目で見てくるから俺もこいつを良く思っていない
 どうやらこいつは雑誌を買いに来たらしく手には女性向け雑誌が握られている
 そして今気づいたがさっき名前の名前しか呼んでなかったぞこいつ、まじむかつく

「名前? 固まってどうしたの?」
「あっ、いや、その……」

 ちらっと名前に視線を送れば私っぽく振る舞えと返ってきた、気がする、とにかく今は名前のふりをしてここから去ろう

「ぐ、偶然だね! ね、はる、や……?」
「あ、おう、そうだな」
「げっ、南雲もいるのかよ」

 げってなんだよ、まじこいつ嫌い、名前の存在を無視したように真琴は次々と俺に話しかける、俺はなるべく名前らしく振る舞うのに精神を使った
 それから五分くらいたった時に風介が話の腰を折ってくれて真琴は渋々といった風にレジに向かう
 去り際に思い切り抱き締められて吐き気がした、レズかなにかかよあいつは

「ふー、助かったぜ」
「ほんと、ありがとうね風介」
「いや、構わない、元々君たちが存在感を消すということが無理難題だったんだ」
「どういう意味だこら」
「そのままだが、晴矢は見た目は名前だが脳みそはチューリップのままのようだ」
「んだと!」
「もー、二人とも帰るよ!」

 口調が元に戻ってしまったことも気にせず風介に食ってかかろうとしたところを名前に引っ張られ家路を急ぐ


「あ、三人ともおかえり」

 家に着くと今朝伸したはずのヒロトが名前の部屋のソファーでくつろいでいた、なんなんだこいつは
 名前は買ってきた荷物を手早く仕舞っていき、ヒロトもそれを手伝うべく立ち上がった
 ヒロトと入れ替わるようにソファーに座った風介は手に何かを持っていて、よく見てみればそれはファミリーパックのでかいアイスだった
 アイスってそれかよ、と突っ込みを入れたかったがさすがに神経使いすぎて疲れた、ねみい
 風介の隣に座ってテレビでやっている映画を観てみるが途中から観ても内容がわからねぇ、ああ、まぶたがおもい


あったかい所


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