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▼半田真一の災難05

 松野との会話も弾んだ頃、隣に居た真ちゃんが気まずそうにあたしたちを見てきたのでそこで真ちゃんの存在を思い出した、やば、松野と二人だけの空間作ってたかも
 とりあえず飲み物も無くなってたし外もだいぶ暗くなっていたのでその場は解散となった、別れ際に松野からメアドを聞かれた

「あたし連絡先教えない主義なの、一回だけなのに後々彼氏面して連絡してくるのとかうざいから」

 しつこく聞いてくる奴も居るけどそういう場合は一発お見舞いしてやるのが一番、こう見えても小さい頃空手習ってました
 半田は知ってるんでしょ、と言うのでもちろんと答えればしゅんと項垂れる、そんな松野を不覚にも可愛いと思ってしまった

「あ、でも松野には教えてあげるよ」

 特別ね、と付け足して携帯を取り出せば松野は嬉々とした表情で同じく携帯を取り出した
 そしてその場は本当に解散となり一人家の方向が違う松野と別れたあたしは真ちゃんと帰路に付いた

「マックスいい奴だろ」
「そうね、あの可愛らしい顔で女を何人も喰ってるとは相当なヤり手ね」
「なんでそうなるんだよ! はぁ……ったくそのビッチ治せよ」
「んー、こればっかりは遺伝だからなぁ」
「何、親御さんまだ浮気し合ってんの?」
「うん、あれで離婚しないんだから凄いよね」

 やっぱり愛し合ってるんだねー、と笑えば真ちゃんが呆れたようにため息をついた、仕方ないじゃない、癖みたいなもんなんだって
 途中の分かれ道で別れて一人で家まで歩く、分かれ道からあたしの家はすぐだと知っている真ちゃんはあたしをわざわざ家まで送ろうとしない
 小学生の頃に家まで送ってくれたことがあるのだがそのとき暴漢に襲われかけ当時の真ちゃんは何もできず、むしろあたしの空手に助けられた記憶が今でも残っているのだろう、つまり真ちゃんよりあたしの方が強いってこと

 ただいまー、誰もいない家に入ってリビングのソファーに倒れこむ、普段はまったくしない緊張をしたせいか何か疲れた
 今朝二人とも帰らないと行っていたので浮気の日だろう、別に家族仲が悪いわけではない、むしろ円満なほうだ
 母さんは母さんで自分が父さんに心の底から愛されていることを知っている、父さんも同様に母さんから愛されていると分かっている、もちろんあたしも二人を愛している、ただ遊びが癖になっているだけで
 晩御飯は何にしようかと考えているとポケットの中の携帯が震えたので手に取れば松野からのメールだった

『もう家に着いた? 今日は話せて良かったよ、ありがとう』

 猫の顔文字つきという何か松野らしいメールに頬を緩ませメールの返事を打つ、ちょうど家に着いたとこ、今から晩御飯つくる
 送信してから一分も経たない内に返事が返ってくる、松野は結構メール好きっぽそうだからな

『名字って料理できんの? 何か意外かも』

 何だよ、今日初めて会ったのに失礼だなぁと思いつつその旨をしっかり文章にして返す
 とりあえず返信がなかったので松野はご飯か風呂だろうと勝手に決め込んでソファーから立ち上がる、晩御飯は炒飯にしよう

 今日会って分かったこと、松野は格好良いけど可愛い一面もある、あとちょっと失礼な奴

 この松野との出会いがあたしのビッチ人生を大きく変えるなんて今のあたしには想像もつかなかっただろう


今考えれば喫茶店で晩御飯済ませとけば良かったかもしれない



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