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▼半田真一の災難04

 気まずい、とりあえずお互いの名前を紹介してみたのはいいものの二人は沈黙、それに釣られて俺も黙ってしまった
 やっぱりこれは俺が何か話題を振らないといけないのだろうか、冷や汗が流れるのを感じながら何か話題が無いか脳を回転させる
 しかし普段から何事も中途半端と言われている俺の脳にはこいつらの気に召すような話題は無いだろう

「……だーっ! 半田っ、何か話題無いのかよ!」
「だってお前らの好きそうな話題わかんねえし!」
「そんなんだから中途半田なんだよ!」
「中途半田って言うな!」
「ぷっ、はははっ!」

 痺れを切らしたマックスと言い争いが始まってしまった、しまいにはその場に立ってしまう始末
 まるで漫才のような言い合いに隣で黙っていた名前が噴出し笑い始めた、照れを感じた俺たちは大人しく座ることにした
 どこが面白かったのかは分からないがどうやら名前のツボに入ってしまったらしくその笑い声はしばらく止まらなかった
 ひたすらに爆笑している名前が次第に面白くなってきてしまい俺やマックスもなぜか噴出し笑ってしまった
 名前が目尻に溜まった涙を拭う頃には先ほどまでとは打って変わったような良い感じの雰囲気が流れていた
 さらにはタイミング良く注文していた飲み物も届き、自然な流れで会話を始めることが出来た

「さっき中途半田が紹介したけど僕は松野空介、通称マックス」
「あたしは名字名前、松野って隣のクラスだよね? 噂はかねがね聞いてるよ」
「うん、僕も名字の噂は聞いてる」
「へえ、どんな?」
「もの凄いビッチちゃんだって」
「わお、あたしも有名人になったもんだね」

 会話の内容がいきなりぶっ飛んでいるがまあ何はともあれ二人の会話が弾み始めたので良しとしよう
 この雰囲気をぶち壊すのも悪い気がするので俺はココアを飲みながら二人の会話に耳を傾けた

「僕の噂って何?」
「ものすんごいヤリチンくんって噂」
「そっか、僕も有名になったなぁ」
「有名人だとお互い大変だねー、あははっ、ねえ好きな体位は?」
「ぶっ」
「半田汚い、そうだなー、バックもいいけどやっぱ騎乗位かな、何もしなくても相手がやってくれるから楽」

 突拍子もない会話だと思って聞いていればさらに突拍子もなく下ネタに持ち込みやがった、まあ元々存在が下ネタみたいな奴らだからこうなることはわかってたけど
 それでも行き成りすぎたので思わずココアを噴出せば汚いと一笑されてしまった、さらにはそんな俺を無視して会話を再開している始末
 二人を見ればお互い良い雰囲気じゃないか、会話の内容はあれだけど、見た目は美男美女のカップルだ、俺もう居なくてよくね

「名字は?」
「あたしも騎乗位かなー、男が主導権握ってもあたしが気持ちよくないと意味ないし」
「あ、それはわかる、騎乗位好きっていったけどその点では嫌いかも」
「あ、まじで? あたしたち気が合うのかもね」

 ふわりと笑った名前につられるようにマックスも笑みを浮かべた、本当にカップルにしか見えない
 でもこいつらがカップルだったら喫茶店なんておしゃれな場所じゃなくて速攻でホテルとか行くんだろうな
 店内の客には会話なんて聞こえていないのでただの美男美女カップルが見詰め合い笑っているだけにしえていないらしく、恍惚とした表情を浮かべている人が何人か居る


なんか俺ものすごく邪魔者っぽく見られるんじゃないかな



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