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▼オリオンになぞられて05

・告白

「名前さん……いや、名前」
「は、はい……?」

「僕は貴女が好きです」
「!」


「ごっ、こめんなさい!」

「あの、私……バーナビー君が思っているほど善人じゃない」


「あいつ……何か隠してるな」

 真実を知っている後ろめたさ。




「虎徹、話があるの」


「虎徹、能力が減退してるでしょ?」

「なっ……バレちまったか」
「私を誰だと思ってるの」

「私はワイルドタイガーの同期で、虎徹の友達だよ?」




「虎徹、これ楓にお土産」
「ありがとな」
「絶対に中見ちゃダメだよ!」
「分ってるよ」

 可愛らしい封筒の中には楓への手紙と、バーナビーのサイン入り生写真が数枚。

 名前からの頼みならば彼も快く、何枚でもサインするのだ。
 彼の気持ちを利用するわけではなく、一人の人間としてバーナビーに頼んだのだ。


「もう、6年になるのか……」


『楓を探してくれ! 学校から帰ってこなくて雨も降ってて……!』
「落ち着いて虎徹!」


「……いた! 神社の社に閉じ込められてる!」



 今まで色んなヒーローがデビューし、そして引退していった。

 それぞれに引退に至る事情があり、彼ら自身が決めたこと。名前が口出し出来る問題ではない。 




「ジェイクにタトゥーはないよ」

「ジェイクの右手にタトゥーはないし、バーナビー君の両親を殺したのは彼でもない」
「何でそんなこと分かるんですか!?」

「彼に直接聞いたから」

「ジェイクと戦った時に彼に訊いたの」




「ごめんなさい」

「私は知っていたの。バーナビー君の両親の仇を知っていた……知っている上で、黙ってたの」

 しかしその人物は彼女にとって恩人でもある。
居場所のない自分にヒーロー補佐という場所を与えてくれたからか、それとも彼に復讐なんてして欲しくなかったからか。
 マーベリックは自首を促して聞くような人間ではない。加えて記憶改竄のNEXTだ。名前みたいな小娘一人を消すことなんて容易にやってのけるだろう。

 仮にもし、バーナビーに全てを伝え復讐を遂げさせたとしてもそれに伴い自分のNEXTの正体を知られてしまう。他人の心中を覗き見ることが出来るなんて知られたらと考えると怖くて仕方がない。

 自分の居場所を、ようやく出来た沢山の友人を失う結果になる。


 ジェイクには悪いがあのまま彼が仇ということにしておけばバーナビーは心安めるのだ。

 一見彼を思っての行動に見えるが全ては彼女のエゴだ。自分の身を、居場所を失いたくないが為の嘘偽り、偽善。



「ついでに一つ良いことを教えてあげよう」

「名前の両親を殺したのも私なんだよ」

「正確には殺させただね、ウロボロスを使って。名前が知らないのも無理はない。私だってすっかり忘れていたんだよ」


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