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▼新進気鋭の若手博士02

 時間だけは沢山ある。今頃助手たちやシロナがあれやこれやと探し回っているのだろうか、それともいつものフィールドワークに出ものたと勘違いして帰りを待っているのだろうか。


「シンオウ地方ではハクタイの森で、ホウエン地方だとトウカの森で、何れも苔生した岩の近くでレベルアップするとリーフィアに進化するの」

「今この苔の成分を分析して如何なる場所においても進化可能となる道具の研究をしている最中だから、こんな危険なことをしなくても進化できるようにするからね」



「思い立ったが吉日。突発的に行動しちゃうのは私もだから……」


 ツワブキダイゴはホウエンリーグのチャンピオンであり、デボンコーポレーションの社長子息で副社長でもある。
 そんな大層な肩書きを持ち、且つ容姿も整っているが故に彼に言い寄る女性は少なくなかった。
 しかし彼には石収集という一風変わった趣味があったため今まで付き合ってきたどの女性にもその嗜好を理解されることはなく、長く続くことはなかった。
 彼に気に入られようと興味を持ったフリをする女性もいたがそんな嘘を見抜けぬほど彼も馬鹿ではない。また、同じく石好きな女性とも交際をしてみたが結局彼の突発的な発掘行動に付いて行けずに破局している。

 そんな、女性に受け入れられずにいた趣味の話を熱心に、突発的行動を許容してくれる女の子がいる事実にツワブキダイゴは感動している。
 彼女くらいの年頃の女の子だったら百人が百人すぐに飽きてしまうような内容にも関わらず名前は真剣に、しかも時々質問なんてのもしながら、彼の話に耳を傾けているのだ。
 彼女の表情には“フリ”などは存在しない。例えそれが己が研究に繋げるための情報収集だと分かっていても、ダイゴは嬉しかったのだ。

 もしかしたら未だ発見されていないだけでポケモンを進化させる石が、もしくはそのヒントと成り得る情報があるかもしれない。そう考えたら彼女にとって“自分の知らない知識”は貴重なものなのだ。
 ただでさえ貪欲な知識欲を持つ彼女にとってダイゴの話は魅力的でもあった。
 普段は年頃の女の子らしくお洒落や流行にも気を使う可愛らしい子なのに研究のこととなると転で周りが見えなくなり髪が乱れようと服が汚れようと構わずに没頭してしまう。
 研究職の人間は変わり者が多いと言うがどうやら名前も例外ではないらしい。

 気になった情報をメモしていく今の名前は実に博士然としていて、輝いている。
 本来ならばポケッチのメモアプリを使いたいところなのだが、今は家出中の身、ポケッチの電源は切っておかねば助手たちからの着信がとんでもないことになるのは目に見えている。

 知識欲を満たすには十二分な量の話を聞いた。



 進化系が発見されていないポケモンは進化しないのではなく未だ進化方法が発見されていないだけなのでは、と仮説を立てると全てのポケモンに進化の可能性はある。


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