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▼02

 煩わしい授業も終わりを告げ足早に教室を後にする。今日は探偵の仕事しかないと言っていたので彼はもう家にはいるだろう。さっさと帰っていの一番に文句を言ってやるのだ。
 という私の企ては校舎を出た辺りで頓挫することとなる。

 健全な若者が集う場所には似つかわしくない大型バイクと、それに寄りかかるように立っている金髪の派手な女。氷帝学園にも何人か外国人教師はいるが彼女ほど派手で、綺麗な人はいない。
 校門の前で堂々と立っている女が目に入ると私の不機嫌度は更に上がり、眉間にもしわが増える。気付かれないようさっさと帰ろう。

「ハーイ、カフェット」

 彼女に注視し何者かを思案する生徒に紛れて早々にこの場を立ち去ろうとしたが失敗に終わった。彼女、ベルモットの視線が完全に私を注している。
 惚けたり無視しても意味なんてないのだろうから、私は彼女に聞かせるように大きく溜め息を吐く。

「はぁ……何しに来たの?」
「あら、随分な物言いね。せっかく迎えに来てあげたのに」
「体のいい言い訳ね」

 どうせ自分や組織の秘密をバラさないように牽制する意味での監視が目的でしょうに。
 不定期的に現れることでいつでもお前を見ているって言いたいのでしょうけどそんな脅し私には効かない。

「こんな事しなくても無闇に言い触らしたりしないから安心してよ。そもそもそういう約束でしょう?」

 子供っぽく言ってやれば彼女の眉が僅かに動いた。
 わざわざ用意したであろうサイドカーに置いてあったヘルメットを被ってそのまま乗り込む。

「……貴女のその性格嫌いじゃないわよ」
「そりゃどうも」

 別に好かれたいなんてこれっぽっちも思っていない。
 寧ろ私はこいつが嫌いだ。

 ヘルメットを被りバイクに跨がり、ハーレー特有のマフラー音を響かせながらその場を後にした。


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