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▼5bit

 私や士郎にとってそのアバターはよく見知った人物だった。サッカーブームの火付け役で幾度もの絶望を希望に塗り替えてきた、円堂守その人だ。
 いつ自分のアカウントも奪われてもおかしくないこの状況で臆することなく現れた彼らしい行動に、追い込まれていたはずの私の心には不思議と余裕が生まれる。
 隣を見れば先ほどまで強張っていた士郎の表情もどこか柔らかく、円堂守という人物の偉大さを改めて思い知った。

『俺のアカウントを使ってくれ!』

「円堂くん……!」

 円堂くんの言葉にこの場にいたみんなの表情が明るくなった。そうだった、彼は他人のために何かする時にデメリットなんて考えない。常に前向きなんだった。
 円堂くんに触発され日本の選手のみならずフィディオやマーク、それにロニージョなど彼に関わった選手たちが自らのアカウントを夏希に預けていく。
 それに触発された世界中の人たちが次々にアカウントを預け始めた。

『私たちの家族を守ってください。』

 彼らの思いと共に預けられたアカウントたちは夏希だけではなく私たち家族を強くした。私たちはこんなにも沢山の人に支えられているのだ。

 様子を見守っているとOZの守り神であるジョンとヨーコからナツキへ何かが送られる。眩しいくらいの光と共に夏希のアバターが着替えたのはレアアイテムである吉祥の着物とアクセサリー。

 ラブマシーンの持っているアカウント数を余裕で超えてから、こいこい勝負は再開した。


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