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▼未来日記→狩人02

・ヨークシン編

 コミュニティの車が通れないようにバンで道を塞ぐというシンプルな作戦みたいだ

「シャル、サングラス似合わないのね!」

 ふふふっ、幼い顔に大きなサングラスという少し不恰好なシャルナークを笑いながらバンを降りる



『ウボーの大声で鼓膜が死ぬかと思った、塞いでいたからセーフだったけど』

 そのツイートを見た名前が両手で耳を塞いだことにより周りにいたメンバーも察しが付いたように己の耳をふさぐ



『ウボォーが殺された、知っていたのに何も出来ないのは実に無力で、自分に苛立ちすら感じる』

 ウボォーギンが何者かの手によって殺されることを示しているそのツイートに彼女の体が震える、このまま彼を行かせてしまったら確実に死ぬことを示唆している
 それでも彼を見送らねばならなかった



 彼を引きとめようとした瞬間別のツイートが目に留まった、それはおおよそ名前が書くことはないような文章で彼女の日記には妙に不釣合いだった
 四行一連でまとめられた詩のようなものが三つ、その前のツイートから察するにこれは

 そのうちの最初の一連に書かれている文章を見て悟った、彼を引き留めたら自分の命が危ないと

「ウボォー」
「ん、名前何だ?」
「……気をつけてね」
「……分かった、大丈夫だ、俺を信じろ!」


蜘蛛が欠けると貴方の暦は言う
けれど書き変えてはいけない
そこに残るのは死の刻印だけ
喪服の楽団に加わると良いだろう

菊が葉もろとも涸れ落ちて
それでも糸は千切れない
緋の目を見てはいけない
貴方の暦を見てもいけない

貴方だけの暦が示す先を
他人に見せてはいけない
貴方は招かれざる客なのだから
何よりも孤独を恐れなさい


 ここに書かれていることを要約するとイレギュラーな存在である私は今月何もしてはいけない、日記を見たりクラピカと会ってもいけない、それを守らないと私も死ぬ

「名前はどんなことが書かれてた?」
「……」


「シズクとパクノダはレアなんだ! それに名前の日記はこの世に一つしかない機能だ、失う訳にはいかない」



「名前の日記に鎖野郎の正体とか載ってないの?」
「えっ、あー、うん載ってないや」

 この日記には名前が見たり聞いたりしたこと以外は載ることがないのだと説明すればノブナガは舌打ちを一つ漏らす、それに対して彼女は曖昧に笑うことしか出来なかった
 彼女は初めて仲間に嘘を吐いた、本当はウボォーギンが鎖野郎に殺されてしまうこともその鎖野郎の正体もすべて日記に記されていたのだ
 しかしそれを伝えないのはクラピカに対する優しさや同情でもなければ蜘蛛に対する裏切りでもない、自分自身を守るため
 生かすべきは蜘蛛なのに保身に走る自分を知られたら軽蔑されるのだろうか、今まで誰に軽蔑されようが嫌われようが気にとめなかった彼女が初めて嫌われたくないと思ってしまった人たち
 あの時死ぬはずだったのに、本来ならばすでに死んだ人間であるからこそ、生きたいと思ってしまったのだ



「パク、私はこの世界に来て初めて、誰も何も信じてくれなかった中、一番初めに私を信じてくれた貴女を信じている」
「名前……」
「だからパクがどんな選択をしても私はその選択を信じるよ」
「……ありがとう、名前」


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