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▼未来日記→狩人01

・二次試験

『二次試験は合格者が出なかったけど審査不十分で追加試験があるらしい、めんどくさ』

 こういう時に無駄な努力をしなくて済むのは未来日記を持つ上での利点だろう、どうせ合格者が出ないなら寿司を作っても仕方がないということで外で待機することにした
 騒がしい会場を抜けると新鮮な空気が肺に広がる、都会や湿原では味わえない空気を肺に溜めてゆっくり吐く、空気が美味いとはまさにこのことだろう
 会場が慌ただしくなったの横目で見てから誰も居なくなった川のほとりに腰を下ろす、歩きっぱなしだった足を休めるべくブーツとソックスを脱いで裸足になってから川に足を浸けた
 ひんやりと冷たい、それと同時に疲労の溜まった足が癒されていく、ツイートしておこうと思ったらすでにされていた





「俺がいなくて寂しい?」
『……うん、シャルがいないと寂しい』

 正直驚いた、どうせ素直に言ってくれるだなんて思っていなかったから半分冗談のつもりで言ったのだけどこうも素直になってくれるとは、うん、可愛い
 なんか俺まで寂しくなってきてしまった



・三次試験

 アナウンスの声によればこの多数決の道では6人で多数決をして進む道を決めていくのだという、ただし人数が偶数のため意見が綺麗に割れた場合はその場で全員失格となる
 そのため一度意見をまとめてからボタンを押さねばならないとクラピカがその場をまとめ、先へと進んでいくこととなった

 順調に塔を下へと進んで行くと広い居場所へと出、そこでは死刑囚の刑期と塔で過ごす時間をかけての勝負が行われることになった



・四次試験

 むこう90日間の未来を知ることが出来る未来日記は誠に便利である、一次試験開始の時点で既に四次試験で自分が奪うべき番号がわかっていたのだ
 一次試験のマラソンの最中そのプレートを持つ者に念で作った11桁の電話番号を貼り付けることなど赤子の手を捻るも同然の所業であった



 最終試験は筆記試験だという言葉に対して皆が一様に絶望を表現している中名前だけは余裕だった
 彼女は未来を知っている、彼女は未来を知っていた、彼女は最終試験が筆記試験ではないことを知っていたからこそ余裕の笑みを浮かべているのだ
 そんなことを知る由も無い他の受験者たちは単に彼女が聡明で筆記試験に強いのだと考えた、実際に彼女は筆記試験が行われれば満点を叩きだせるほど頭が良い



「お主、なぜハンター試験を受けようと思ったんじゃ?」
「受けたほうがいいって言われたから、ですかね」
「そうか……では、面談を始めるとするか」
「はーい」
「この中に注目している者はおるか?」
「注目ねー、うーん、やっぱりヒソカですね」

 もちろん悪い意味でね、と付け足して笑って見せればつられたようにネテロも笑う、今まで面談をしてきた受験生たちも大体が注目しているか戦いたくない相手にヒソカを選んでいたのでネテロもそこまでは予想がついた
 シャルナークからヒソカには気をつけろと言われていたためそれとなく警戒していたが、彼女自身ヒソカからは何か嫌なものを感じ取ってしまい悪い意味で注目せざるを得ない状態であった
 幻影旅団のメンバーで未だ会ったことがなかったのがヒソカだけであったがこの試験で初めて彼を見て、我妻とは別のクレイジーさに背筋がぞくぞくしたのを覚えている

「では、戦いたくない相手は?」
「別にいないですね、戦えと言われれば誰とでも戦います」
「ほうほう、なるほどな」

 先に出ていたヒソカと、ギタナクルという得体の知れない不気味な男以外であれば



・最終試験

 名前は四回戦目、クラピカかヒソカのうちどちらかと戦うこととなる位置に名前が載っていた、あらかじめ日記を見ていた彼女は自分の番が来るまで暇であると壁に背を預け携帯電話を弄り始めた
 結果が分かりきっているものほど詰まらないものは無い、自分が合格することも今後キルアの身に起こることも、全てを把握しているからこそ何もせずにただ傍観していた

「確かに、ハンターになりたいと思ってるわけじゃない……」
「私も別にハンターになりたいわけじゃないしなー」
「名前、すまないが少し黙っていてくれないか」
「分かった」



「本気で戦うの?」
「うーん、どうしようかな、ボクとしては本気で戦いたいけど」
「だったら本気でやる? あーあ、シャルにあんたとは関わるなって言われてたのに」

 ヒソカは何かと危ない奴だから出来るだけ関わらないでね名前の貞操のためにも、とハンター試験に向かう前にシャルナークに言われた言葉を思い出す
 貞操という部分が少し引っかかるか、実際に彼からの視線を受けるたびに背筋が凍る思いをしていたのを思い出した、もちろん貞操的な意味で
 一次試験の最中に行われていた試験管ごっこの際も名前はいなかったがその嫌なオーラだけは伝わってきていたのでヒソカを警戒していたのは確かだ


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