×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

▼西洋ツツジと呼ばないで04

 いつの間にか、アツヤは名ストライカーとして僕は名ディフェンダーとして、二人とも道新の片隅に乗るくらいは有名になっていた。
 両親は仲が良いし祖父母も元気だ。友達もたくさんいるし、勉強はちょっと苦手だけどアツヤやサッカー部のみんなとサッカーをしているのも楽しい。
 充実している毎日を送っているのに、時々、妙に空しくて何かが足りないような気がするの何でだろう。
 月並みな表現をすると、胸に穴が開いているような、そんな感覚だ。

「まただ……」
「……兄ちゃん? どうかしたのか?」
「ううん。なんでもないよ」

 その症状が出て来たのはここ数ヶ月くらいのことで、ふとした瞬間に寂しさが襲ってくるのだ。
 それはご飯を食べている時だったり、勉強をしている時だったり、はたまたサッカーをしている時だったり。
 総じて僕が充足感を得ている時にばかり、それは心の隅に穴を空けてゆくのだ。
 その穴はどんどんと広がってゆき、そのうち僕の心をすべて消してしまうだろう。


<< 戻る >>