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▼ハガレン→進撃08

 こちらの世界に来た時、私の体は幼くなっていた。伸ばしていた髪も、私が錬金術に手を出した頃まで短くなっている。
 真理の扉を通るための対価として、私の時間を奪われたのだと理解するのは容易だった。

 本来の身体に合わせて造られた機械鎧は今の私には随分と大きかった。幸い日本にある私行きつけの機械鎧屋と、エルリック兄弟行きつけの義肢装具屋から色々と教わっていたので素材も構造も着脱方法も、手入れの仕方もよく解る。
 片腕が使えないので地面に錬成陣を描きその上に機械鎧の部品を乗せる。
 理解、分解、再構築、錬金術の基本を行い今の私に合うサイズに調整された機械鎧と、不要な金属類を錬成する。余った金属類は成長した時に必要となるので大事に保管しておく必要がある。
 最後に微調整をして神経を繋ぐ、この瞬間だけは悲鳴こそ出ないがいつまで経っても慣れない。
 私の一連の動作を見たらきっと義肢装具屋は邪道だとか、それじゃあ駄目だとか怒るのだろう。特にリゼンブールの義肢装具屋の女の子は、日本の機械鎧屋で造られた特別な金属を用いた軽量だが丈夫なそれをいたく気に入っていたから。
 良いものはちゃんとした所で定期的にメンテナンスしてもらわないと駄目だと、何度か言われたのを覚えている。
 しかしこの世界に義肢装具屋があるなんて聞いたことがないし、そもそも機械鎧自体が存在しないようだ。義肢が存在するのかさえ分からない。

 それからは情報収集を兼ねてシガンシナ区という場所でひっそりと修理屋を営んで食いつないだ。


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