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▼ハガレン→進撃09

 雪山訓練はその厳しさと過酷さ故に二人一組のペアを組んで行われる。


「ダメよ、もうじき荒れるから今日はこのあたりで少し暖をとりましょう」

 暖をとるのに適当な場所が見つからず、彼女が手を合わせ雪で洞穴のようなものを作り出した。彼女はこれをカマクラと呼んだ。
 見た目に反してカマクラの中はなかなかに暖かかった。俺が集めてきた薪に火をつけるのだって指をパチンと鳴らすだけで簡単に点く。
 レンキンジュツという不思議な術に加えて彼女は天候を読む力でもあるのだろうか。暖を取り始めたら本当に天気が荒れ、外はあっと言う間に吹雪いた。

「吹雪くのがよくわかったな」
「経験則で分かっただけよ」
「それは前の世界での経験か?」
「ええ」

 俺の質問に対して彼女はあっけらかんと答え、笑った。

 この世界にはない術を使っている彼女は明らかに狡いが、憲兵団に入って内地へ行くという目的を持っている俺は、名前と組めたのは幸いだ。例え狡い方法でも成績を上げられるのは助かる。
 仮に名前がレンキンジュツを使えなかったとしても成績も順位も変わらないだろう。彼女には軍属としての経験と知識がある。


「大気中の原子を振動させて気温を上げてるの」
「そ、そうか……」

 生憎、俺には原子だの何だのという化学的な話はさっぱり分からん。きっとアルミンならば会話を成立させることが出来るのだろう。


「見張りは私に任せて、ライナーは寝て」
「えっ、それだと名前の寝る時間が……」
「知ってるでしょ、私は軍人。一日くらい寝なくても平気よ」
「しかしだな」


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