365 | ナノ


【兄という器】

2016/09/19 10:36

「兄」という生き物と交流しようとする弟の話を一年以上前にaskでしたのでその残りかすです。
続きそのうち書きます。





兄は俺に遠慮をするところがある。
中学三年生の受験期学年じゅうに広まったピリピリとした焦燥感と思春期らしい苛立ちから兄に辛く当たって以来、彼は俺に対してよそよそしいのだ。
もうとっくにそんな年頃は過ぎて、兄の言動に苛立つこともなければものに当たるようなこともないのにまだいつもどこかぎこちない様子で声をかけてくる。
そもそも兄は穏やかで優しい心根の男で俺が勝手に兄の優秀さに嫉妬してきつい物言いをしていたに過ぎない。いつまでも腫れ物に触れるようにして接されるのは気持ちが良くない。
血の繋がった兄弟だというのに兄ときたら俺に遠慮して、いつもおずおずと「いま、話しかけてもいいかい」と確認をとるのだ。
もういい加減普通の兄弟らしく意味もなく軽口など叩き合って気安く話したい。
先日二十歳の誕生日を迎えたこともあって、俺は兄との関係をやわらかいものにしようとアルコールを頼みにした。
夕飯のあと居間で本を読んでいた兄を部屋に誘うと、少し困ったような笑みを浮かべて話に乗ってきた。
「でも、お前の部屋に入れてくれるなんて珍しいじゃないか」
「……友だちからちょっと高い酒、もらったんだ。居間でやると父さんに飲み尽くされちまう」
誰かを部屋に入れたくなかったのなんて中学の終わりのほんの数月だけで、そのあとは部屋の戸を叩く兄を拒んだことはない。
たった一度、俺が兄に声を荒げてから彼の方から訪ねるのをやめただけだ。
しかし否定するのも面倒なので適当な理由を与えてやる。
「もう友だちと酒を飲むような歳になってるなんて」
部屋に入って、床に座り込んだ兄は折りたたみテーブルの上に乗ったボトルを感慨深そうな顔をしてつついた。
「やめてくれよ、親戚のおっさんみたいなこと言うの」
「……年寄り臭かったかな?」
兄の指が髪の毛を触る。
休みの日には家にこもって本ばかり読んでいるために少しも日に焼けない指先で長めの前髪をくるくると巻いては離すのは兄の癖だ。
特に、落ち着かない時はそうする。
俺が少し強い言葉で返事をしたから、次の話題に困っているのだろう。
「別に、年寄り臭くはないよ。兄さんの方が四つも年上だ。俺よりずっと前から酒を飲めたし、時の流れも感じるだろ」




飽きたんですけど、この後自分に対してびくびくしている兄にちんぽ咥えさせます



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