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  吹雪くんから


白恋中へと入ろうとした時、久々にびびってしまった
なんか校門の所に人がわんさかいる
「なにあれ…」
驚異というか、寧ろ狂気的なまでのその光景の中心には安定して彼がいた
この学校のプリンスである吹雪くんだ
そういえば今日はホワイトデーである
だからそうなのか、と思いそうになって気が付いた
何故か男子から女子へお返しする日の筈が女子から吹雪くんへプレゼントする日になっているようだ
流石と言った方がいいのだろうか
あ、そういえば私、吹雪くんにバレンタインの時お菓子あげたな
部活仲間だからということで全員に配ったんだ、そうだ思い出した
けど今日は部活になるまでその話はなさそ
「あっ、名前ちゃん!」
…なんか誰かが私に気が付いたようだ
だが嫌な予感がする、いや、誰だか分かるけれども
「おはよ、名前ちゃんっ」
とととっなんて音がしそうな軽い足取りで私の下へ来たのは言わずもがな吹雪くんでした
「…おはよーさんです、吹雪くん」
このタイミングで来られたから何故来たのですかと言いそうになってしまった危ない危ない
「名前ちゃんバレンタインデーの時のお菓子ありがとうね、美味しかった」
「喜んでいただけて光栄だよ」
「また作ってくれる?」
「いいよ、あれ以外も作ろうか?」
「いいの?」
「うん、お菓子作んの好きだし」
「ありがと!
あ、これバレンタインデーのお返しねっ」
そう言って吹雪くんは私に小さな可愛らしい袋をくれた
「じゃあボク行くね、また部活で!」
「ありがと、部活でね」
吹雪くんが去って女子からの目をスルーしながら袋の中を見てみる
中には沢山の綺麗なキャンディと二つ折りの手紙があった
私はその場で袋を片手に手紙を開いた
そして此処で見なければ良かったと思った
『ホワイトデーにキャンディをあげると貴方が好きって意味らしいよ』
「……イケメンめ…」
こんなことしても決まってしまう彼に少し嫉妬した


吹雪くんから、貴方へ




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