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  レムレス先輩と


2月14日、バレンタインデー
今日の私は朝から浮かれている
だって!今年のバレンタインは!なんと!あの!憧れのレムレス先輩が!お菓子をくれるという!
アピールして良かったと、自分を褒めたい
でも緊張し過ぎてうまく息ができない
「死んでしまうかもしれない…」
「どうして?」
「いや、だってそりゃ、ってうぉわあああ!」
「こんにちはー」
ギリギリ気付いて良かったって心の底から思った
だって後ろにいたのは箒にぶら下がったレムレス先輩だったんだから
危なかった、本当に危なかった
それにしても安定してる、ふわふわしてる、色んな意味で
箒に足だけを引っ掛けて逆さでぶら下がっている為にチラッと見えた先輩の腹部に見とれていた
ら、ひらりと先輩は降りてきた
正直もうちょっとだけ見たかった
「ハッピーバレンタインデー、ナマエちゃん」
「はっ、ハッピーバレンタインデーです、レムレス先輩!」
「はい、どーぞ」
「ありがとうございます!レムレス先輩の作ったお菓子、美味しくて大好きです!」
「本当?ありがとうね」
ああ、憧れのレムレス先輩に頭を撫でて貰えるなんて幸せ!
お菓子貰えるだけでも幸せなのに!
はあ…本当に幸せ…
「幸せそうで何よりだよ」
………ん?
え、幸せそうでって、え?
「え、あ、か、顔に出ちゃってましたか、あはははー!」
「ううん、幸せって口に出してたよ」
「ーっ!」
それは正に声にならない声だった
よく本とかにある記号だらけのあれ状態
いやでもまだいけるかもしれない!言い訳をする価値はある!
「あああのこれはそのレムレス先輩のお菓子が好き過ぎて幸せで幸せでしょうがないからですはい!」
どもった、これはもう終わりだ
終末世界がやってきた
「そっか、そこまで喜んで貰えると作った甲斐があったよ」
あああこんなこと言いたくないけどレムレス先輩鈍感でありがとうございます!
終わってなかった私の人生
って、こんなこと考えてる場合じゃなくて
「あの、レムレス先輩!」
「なぁに?」
「その、私からも、日頃の感謝を込めまして、これを」
近くの机の上に置いといた少し大きい箱をレムレス先輩に渡す
こんなことされるとも思っていなかったのか、きょとんとした顔で箱を見詰めている
「お、お口に合うかわかりませんが、食べて貰えたら嬉しいです…!」
「ありがとう、帰ったらいただくよ」
うわあああ!レムレス先輩が私の作ったお菓子を食べてくれる!なにこれ夢みたい!
「ご、ご感想お待ちしております!」
「わかった、今度会った時に言うね」
「はいっ!」
「それじゃ、またね
…あ、そうだ」
「は、はい!」
「もしかしたら、それ僕の本命かもしれないよ」
……………………
「え?」
「じゃあね」
「え、ちょ、レムレス先輩!?」
ふわりと箒に跨がって去って行ったレムレス先輩を見詰めて数秒
足に力が入らなくてその場に崩れ落ちた
「何あの人あざとい…っ」
ちょっと熱かった顔は、本当に自分でもわかる位に熱くなった
(…レムレス先輩怖い)


レムレス先輩と乙女


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