一日遅れの誕生日
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「「「ウキョウさん
お誕生日おめでとう!」」」


今日のお昼過ぎに
『用事がなかったら
夕方五時に冥土の羊に来てほしいの』と
マイからメールがあった。

とくに仕事もなかったので
俺は「わかったよ」と返信をし
五時に冥土の羊へ行った。


冥土の羊に入店するといきなり
パーンというクラッカーが鳴る音と共に
みんなは俺に向かってそう言った。


ウキョウ「え、あ…え?!」


突然の事に驚きを隠せない俺。


シン「ウキョウさん
昨日誕生日だったらしいじゃないですか。」

イッキ「マイが今日バイトに来てから
その話しかしないんだよね〜。」

サワ「そうそう、のろけっぱなしなのよ。
すっごく幸せだった〜なんて言って…。」

『ちょっと…みんなっ…!』


顔を真っ赤にしながら言うマイ。

その顔が可愛いから
みんないじりたくなるんだろな。


俺とマイは昨日の三月三日
俺の誕生日にデートをした。

本当に今までで一番幸せな誕生日を過ごしたと思う。

きっとその話をしたのだろう。


ウキョウ「あれ?そう言えばお客さんは?」


俺は店内を見まわした。

普段のこの時間なら
たくさんお客さんがいるはずなのに。


ワカ「今日は常連のウキョウ殿のために
貸し切りにした。」

『そうなの、話してたら
みんなも祝いたいって言ってくれたんだ。』

ウキョウ「えっ…、みんな…。」


俺の為に、そう思うと視界がぼやけた。


ケント「ウキョウ君?!」

トーマ「あーあ、泣いちゃいましたね。」

リカ「涙もろいのですわね。」

ミネ「店長泣かした〜。」

ワカ「なっ…これは切腹…。」

オリオン「いや!しなくていいよ!?」


冥土の羊の従業員とオリオン、そしてリカが
口々に言う。


『ウキョウ大丈夫?』

ウキョウ「え、ああ、うん。
昨日だけでもあんなに幸せだったのに
今日までこんな…。
俺幸せすぎて死ぬのかな?」

『ふふっ、ウキョウってば大袈裟だよ。』

ウキョウ「大袈裟じゃないよっ!
あー幸せだなぁー、ううっ…。」

『ほら、涙拭いて。』


そう言ってマイからハンカチを受け取り
俺は涙を拭く。


ウキョウ「ありがと…。大好き…。」

『えっ?!も、もうっ!』


一日遅れの誕生日


イッキ「ちょっとみんな
あそこでいちゃついてる人がいるよ。」

トーマ「そうですねー…。
今日はどうしましょうか?」

ケント「やはり今までの経験から
ウキョウ君は精神攻撃に弱いと思うのだが。」

シン「そうですね、暴力はよくないですし…。」

オリオン「ちょっと、みんな黒い!黒いよ!」





   ウキョウ、一日遅れでごめんね!
   誕生日おめでとう!


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