自然と君に向かう足
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俺が一人で外を歩いていると
顔に冷たいものが当たった。


シン「…雪?」


上を見上げると雪が降っていた。

降ってくる雪を見ていると
俺は数年前の事を思い出した…。


『シン!見て、雪だよ!』


学校から下校してた俺とマイ。

目の前を通過する雪を見て
マイは声をあげた。


シン「ああ、そうだな。」


上を確認してそう呟く俺。


『積もるかな?積もるといいね。』

シン「積もったらめんどいだろ。
ただでさえ寒いのに。」

『えー、一緒にかまくら作ろうよ。
一回だけでいいから作ってみたいな。』

シン「いや、普通に考えて無理だろ。
てか小学生かよ。」

『高校生ですー。』


頬を膨らましながらそう言うマイ。

どこが高校生だよ、と言いたい。


…あの日はその後、どうなった?

…ああ、トーマが来て
「風邪引くから」とか言ってきて
強制的に家に連れて帰られたんだった。

結局雪は積もらなかったんだっけ。

かまくらどころか
雪玉すら作れなかったな。


でも雪が降ってきた時の楽しそうなマイの顔は
今でもしっかり覚えているんだな。


シン「今、何してんだろ?」


自然と君に向かう足


『シン?どうしたの?』

シン「別に。顔見に来ただけ。」

『?』

シン「ああ、雪降ってるぞ。」

『え、本当?
積もるかな?かまくら作りたいね。』


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