桜と涙のかくれんぼ
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三月になって最近暖かくなってきた。

相変わらずの異常気象で
もう桜が咲き始めている。


俺は手に封筒を持って
マイのところまで走った。


シン「マイ!」

『あ、シン。
そんなに急がなくてもよかったのに。』


待ち合わせをしてた公園に
俺より先についていたマイは
はぁはぁと息を切らす俺に向かってそう言う。

待ち合わせをした公園が家から近いと言っても
走ったらやっぱり息切れしてしまう。


『シンが焦ってるところなんて
久しぶりに見た気がするな。』

シン「早く伝えようと思ってたんだから
仕方ねぇだろ、馬鹿。」

『ふふっ、ありがとう。』


なんて素直にお礼を言うマイ。

最後の言葉聞いてなかったのか?

ほんと馬鹿だな。


『で、どうだったの、結果?』


そう聞くマイに
俺は大学から届いた合否通知の入った封筒から
一枚の紙を取り出した。


シン「ほら。」

『…。
あっ…よ…よかったぁー…!』


紙を見つめた数秒後に声を出したかと思うと
マイはその場に崩れ落ちそうになった。


シン「なんでマイの方が喜んでんの。」


マイの腕をつかみながら俺は言う。


『だって嬉しくてっ…!
シン、あんなに頑張ってたからっ…!』


マイは目を潤ませながらそう言った。


桜と涙のかくれんぼ


シン「まあ、マイのおかげ。
同じところ行きたかったって言うのもあるし。
…だから…ありがとう。」

『うんっ!四月から一緒に通おうね。
あ、シンも軽音部に入らない?』

シン「…考えとく…。」


その言葉が嬉しかった、って言うのは
心の中で。


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