部屋に広がる甘い香り
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『今日は家には寄らないでね?』


急に電話がかかってきたかと思えば
マイは唐突にそう言った。


シン「はぁ?なんで?」

『えっと…理由は言えないけど
とにかく今日は来たらだめだからね!』


そう言って通話が切れた。


もうすぐ受験だと言う事もあり
俺は最近毎日予備校に行ってる。

予備校の終わる時間が遅くない時は
帰り道であるマイの家に
寄ってから帰っている。

まあ、寄ると言っても十分程度だけど。


でも今日は来るなって、どう言う事だ?


まさか…浮気…?

…いや、マイに限ってそれはないだろ。

それに
そんなにわかりやすく浮気する奴いるか?


いや、理由が浮気じゃなくても
今日は俺に会うとまずいってことだろ。


シン「どういうことだよ…。」


俺、マイを怒らすような事したか?

全く心当たりがない…。


予備校までの時間はあと一時間。

時間はある。

俺はマイの家へと走った。


『はーい。』

シン「よお。」

『シ、シン?!どうして?!』

シン「理由も聞かないで納得なんて無理。」

『まだ…言えないの…。
と、とにかく今日は帰って!』

シン「だから無理。入るぞ。」

『あ、ちょっと…!』


俺はマイを押しのけ、部屋へと入った。

部屋に入って真っ先に俺の目に入ったのは…。


シン「…チョコレート?」


机には作りかけのチョコレートが
置いてあった。


『…内緒にしたかったのに…。』


うつむくマイ。


『もうすぐバレンタインでしょ?
だからシンにチョコ作りたくて…。』


マイはうつむいたまま
たまに俺を見上げたりしながら話をする。

『内緒にしてシンを驚かせたかったの。
それに勉強には甘いものが…。』


マイが言葉を言い切る前に
俺は抱きしめた。


シン「可愛すぎ…。」


部屋に広がる甘い香り


『シンにばれちゃったけど
ちゃんと手作りチョコ渡すからね!』

シン「うん、楽しみにしてる。」



   ⇒バレンタイン企画第一弾:シン


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