あいまいな記憶
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マイが記憶を失ってから
今日で一週間。


オリオン「今日も特に
記憶のヒントになりそうなものは
なかったねー。」


一週間マイと一緒に
記憶探しをしてきたけど
特にこれと言った記憶は戻らなかった。


オリオン「でも明日は
記憶が戻るかも知れないよね!」

『そうだね…。』


うつむきながら呟くマイ。

元気がないのは見ただけでわかる。


オリオン「ごめんね、不安だよね。
そろそろ誰かに相談したいよね。」


信用していない人に相談をして
嘘の記憶を教えられたら
マイがかわいそうだと思う。

でもこんな風に
元気のないマイを見ると
苦しくなる。


『…。』

オリオン「でもここ一週間の様子だと
バイトの人たちは信用できそうだよね!」


僕は少し声のトーンを変えて
そう言った。


正直、バイトの人が
完全に信用できるかどうかは
まだわからないけど
信用してもいいかも、と思ったのは本心。

マイが元気になるなら
バイトの人一人くらいには
記憶喪失の事を打ち明けても
いいと思っていた。


オリオン「だから明日は
誰かに話してみよう?
あ、サワとかどうかな?
女の子だし
マイと仲がよかったみたいだし!」


サワはマイのバイト仲間で
同い年のようだ。

少しお喋り見たいだけど
一週間、僕から見て
この子が一番仲がよさそうにみえたのだ。


オリオン「僕、役に立ってないみたいだし
サワなら…。」

『そんなことない…!』

オリオン「え?」


今まで元気がなかったのに
僕の言葉をかき消すように
強くそう言ったマイに驚いた。


『私はオリオンがいてくれて
この一週間安心できてたよ?
もちろん記憶が無くて
不安になったことも何回もあったけど
オリオンがいたから頑張れたんだよ?』


まさかの発言に僕は言葉が出なかった。


『私、オリオンの事は
ちゃんと信用してるから
一緒に頑張ろう、ね?』


一緒に。

その言葉がとても嬉しかった。


あいまいな記憶


今はあいまいでも、マイのためなら…
マイと一緒なら
確かな記憶を取り戻せると思った。


オリオン「ありがとう。
僕、もっともっと頑張るから
"一緒に"頑張ろう!」

『うん、これからもよろしくね。』


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