彼女のワンピース
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『どっちがいいですか?』

ケント「え、ああ、こちらの方…
…いや、しかし…。」


今日はマイと買い物に来た。

私は、特に予定もなかったので
マイに何をしたいか、と聞くと
『服を買いに行きたいです』と言ったので
二人で駅前の店に来た。


そして今マイは
二つのワンピースを手に持ち
悩んでいるところだ。


先ほど『どっちがいい』と聞かれたが
私はワンピースの素材の良し悪しや
マイの好みなど、あまりわからないので
軽々しくどっちか答える事は出来ないと思った。


『二つとも試着してみますね。』


マイは、私に向かってそう言うと
二つのワンピースを持って
店員さんに声をかけた。


やはりイッキュウに
相談しておけばよかったかな。

からかわれるのが目に見えているので
今日マイと買い物に行く事は
黙っていたのだが。

しかし、イッキュウに
アドバイスでももらっておけば
もう少しマイの役に立てたかもしれない。


そう思いながらマイの入っていった
試着室の方へと歩いた。


数十秒後、マイは試着室の
カーテンを開けた。


ケント「…。」

『あの…どうですか?』


試着室の外にいる私に向かって
マイは尋ねる。

急に聞かれて焦った私は
頭に浮かんだ言葉をそのまま口に出した。


ケント「私は、か…可愛いと思う。」

『ケントさん…。』

ケント「あ、すまない。
何の根拠もない私の感情論だけで。」

『それでいいんです!
ケントさんの気持ちが聞きたかったんです。』


私の言葉をかき消すかのように
マイは勢いよく言った。


『だから、嬉しいです。』


そう言いながらほほ笑むマイは
先ほどよりも数倍可愛いと思った。


彼女のワンピース


『もう一つの方も試着してみますね。』

ケント「楽しみだな。」


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