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今日は江古田高校の文化祭。文化祭の準備で忙しかったのか、二人とは最近会っていなかった。自分の通っていた校舎に懐かしく感じながら足を踏み入れ、二人のいる教室に向かう。

そういえば二人のクラスって何するんだろう。聞いていなかったな。
コスプレや着ぐるみを着た生徒たちが、楽しそうに自分のクラスの宣伝をしながら廊下を歩いている。


「おっと失礼」

曲がり角で人とぶつかりそうになった。執事の恰好をしている整った顔の高校生だった。怪我はないかと聞いてくれて優しい人だなと思いながらお礼を言った。

「お一人ですか? 良かったら僕のクラスへ来ませんか? カフェをしているんです」
「ありがとうございます。先に幼馴染のクラスに行きたくて。その後行きますね」
「幼馴染ですか。ちなみにどのクラスですか? 案内しますよ」
「二年B組です。あ、でも場所は分かるので大丈夫です」
「偶然ですね。二年B組は僕のクラスです」

ということは彼は二人のクラスメイトなんだ。一緒にクラスに向かうことになり、お互い自己紹介をした。白馬君というらしい。優しくてスマートで落ち着いている。
幼馴染は誰なのか聞かれ、二人の名前を伝えると一瞬驚いていたがその後すぐに口角を上げていた。教室に着いて中を覗き二人を探す。メイドと執事がいる。すごい、メイド執事カフェなんだ。

「黒羽君、お客様ですよ」
「客ぅ? ……永愛!」
「快斗! 執事の恰好似合ってるね」
「へへっ、だろ! こっちの席座れよ」

空いた席のテーブルの上が快斗のマジックにより一瞬にして華やかなテーブルに変わった。席に案内されると、私の後ろを見て快斗はムスッとした表情になった。

「なーんでオメーがついてくんだよ」
「僕もお客なので」
「別の席座りゃ良いだろ」
「快斗。私一人だし全然大丈夫だよ。一人で寂しかったからむしろ嬉しいくらい」
「永愛……」
「彼女もこう言ってますし」
「……、永愛、俺もうすぐ休憩入るから一緒に回ろうぜ」
「うん。待ってる」

それからドリンクとケーキを注文した。紅茶を飲む白馬君は様になっていて、まるでどこかの国の王子様のようだ。
そういえば青子の姿が見えないけど休憩中だろうか。

「どうかしましたか?」
「青子は休憩中かなぁって」
「あぁ、彼女ならホール担当の時間ですね」
「そっかぁ。青子のメイド姿も見たかったなぁ」

周りを見て気づいたけど、何故か周りからの視線が痛い。とても見られている気がする。白馬君は特に気にしていないようなので、私も気にしないでおこうと思いケーキを口にした。

「永愛ー!?」
「青子」

声を上げてバタバタとこちらに走ってきた青子。

「白馬君が女の人とデートしてるってざわついてたから出てきたら……。相手は永愛だったなんて! 永愛が来てること何で教えてくれなかったのよ快斗の奴!」

周りからの視線は目の前の彼が原因だったのか。確かにモテそうだもんね。

「青子、メイド服とっても可愛いね。頬にクリームついてるよ」
「えっ!? ありがとう! でもどうして白馬君と一緒に?」
「教室まで案内してくれたの。あと話し相手になってくれてる」
「そうなんだ。私休憩一時間後だから、あとで一緒に回ってね!」
「うん、もちろん」

じゃあまた後で、と私に手を振りながらバタバタとホールに戻っていく青子は可愛かった。

「永愛さんは二人のお姉さんのようですね」
「そうだね、年上だし。二人の事はそういう風に見てるかな。白馬君は休憩いつまでなの?」
「黒羽君と交代なのであと三分十秒です。そろそろ準備をしなければならないので、僕はここで」
「そっか。ありがとう。とても楽しかったです」
「こちらこそ。またお会いしましょう」

素敵な人だなぁ。今の恰好は執事だけど王子様みたいな人だ。
ケーキを食べ終えて数分待っていると、快斗がやってきた。休憩時間も宣伝のために執事の恰好をしなければならないらしく、執事の恰好のままだった。

「何か行きたいとこあるか?」
「えっとね、こことここと、ここ。あとここも」

パンフレットの行きたい場所を指さすと、快斗は呆れた様子で「全部食べ物じゃねーか」と言っていた。それでも一緒に回ってくれる快斗は優しい。お腹いっぱいになったところで廊下を歩いていると、怪しげな雰囲気の看板が立てられたところがあった。思わず足を止めた。

「神の予言?」
「ゲッ、ここはやめといた方が……」
「今日の出来事や相性をお伝えします、だって。気になる!」
「ここだけはぜってー行かない方が良い!」

「あら、そんな冷たいこと言わないでくれるかしら黒羽快斗」
「げぇ、紅子」

怪しげな場所からとても美人な女の子が出てきた。お互い面識があるようだけど、クラスメイトだろうか。

「二人で良いかしら。どうぞ」
「俺は遠慮す「お願いします!」」

嫌がる快斗の腕を引っ張って占いの館のような怪しげなところへ入った。

「まずは何を予言しましょうか」
「えっとじゃあ、今日これから起こることを教えてほしいです」
「そうね……、一人でいるのは凶よ。変な人に絡まれるわね」
「そうなんだ。気をつけなきゃ」
「もう二人に絡まれてるぜ。オメーが二人目」
「失礼ね。彼女が一人になったときの話よ」

「快斗もみてもらえば?」
「俺は良いって」
「えぇー……あ、じゃあ相性は?」
「相性? 俺と永愛の?」
「うん、あと青子の三人の相性! みてもらえますか?」
「えぇ」

彼女は水晶玉に手をかざして目を閉じる。そして数秒後目を開いたと思ったら、真剣な顔をして快斗の顔を見た。

「黒羽君あなた……この人の事、」
「何だよ」
「?」
「……何でもないわ。三人の相性はたまに喧嘩するけど仲の良い幼馴染ってところね」
「まっ、そうだろうな」
「うんうん良かった」


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