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電車を利用して外に出かけたら駅のホームで若い男性がふらついたのが見えて、咄嗟に手を伸ばした。

「……!?」
「大丈夫ですか?」

目の前は下り階段で、もしかしたら落ちていたかもしれない。

「ごめんね、助けてくれてありがとう。最近寝不足で」
「いえ、お気をつけて」
「君が手を伸ばしてくれなかったら、俺は今頃あの下で倒れていただろう。君は命の恩人だ!」
「えっ!? 命の恩人だなんて大袈裟です」
「お礼として良かったら今度俺の店に来てくれないか? 絶対料金は取らないから! 絶対来てくれよ!」

そういって男性から名刺を渡され、男性は去っていった。俺の店ってことはあの人経営者なのかな。

「今夜も俺の瞳に恋をしな。……これ店名? 名前は赤薔薇さん?」

行くか行かないかは後で考えよう。買い物も終わったし家に帰って、京都のお土産を快斗と青子に渡しに行こうっと。


********************


快斗の家に来るのなんだか久しぶりな気がする。いつも二人が来てくれているし。インターホンを鳴らして快斗が出てくるのを待つ。
ドアから出てきた彼は驚いた顔をしていたがすぐに笑顔になった。

「永愛」
「快斗、お土産持ってきたよ」
「サンキュー。中入るだろ?」
「うん。でも先に青子の家に行こうかな。お土産渡したいし。一緒に行こ」
「おー、じゃ行くか。青子まだ寝てるんじゃねぇか?」
「もうお昼だよ。快斗じゃないんだから。青子しっかりしてるし」

俺だって起きてたし、と口を尖らせてブツブツ言っている快斗に可愛いなぁなんて思っていると青子の家の玄関に着いた。近所って良いよね。
インターホンを押すと先程の快斗のように笑顔で顔を出した青子。私の幼馴染って本当可愛い。

「永愛! 入って入ってー!」
「ありがとう。お邪魔します」

京都のお土産を青子にも渡して、皆で食べる用で持ってきたバームクーヘンを切ってもらった。

「京都行ったんだー」
「うん。テレビで食べ歩きしているの見て美味しそうで」
「青子も行きたかったけどその日は文化祭の準備があって。誘ってくれたのにごめんね」
「全然!」
「美味しそうだったからって勢いで京都まで行くかフツー」
「全部美味しかったよ。それより文化祭近いの? そんな時期だっけ」
「来週だよ。永愛ももちろん来るでしょ?」
「行く!」

江古田高校は文化祭の時期かぁ。前に行った帝丹高校の学園祭も楽しかったけど、やっぱり母校の文化祭はより楽しみだ。
友達も誘っても良いか二人に聞くと、快斗に断固拒否された。コナン君達と会いたくないか。彼の立場を考えて納得しつつも少し残念だなと思ってしまう。

「オメーは卒業生なんだから、校舎で迷わねーし大丈夫だろ」
「一人で行くの寂しくない?」
「大丈夫だよ! 着いたらすぐ青子達のクラスに来てね。青子の友達紹介するから」
「ほんと!? 嬉しいー」
「青子も永愛が来てくれたら嬉しい。あ、お茶のおかわり入れるね」
「ありがとう!」

コップを青子に渡したときにポケットから何かが落ち、快斗が拾ってくれた。

「ホイ、落ちたぜ。……名刺?」
「ありがと。あぁ、ここに来る前にふらついた人を助けたら名刺を渡されて。お礼に店に来てくれって」
「へー! なになに? どんなお店?」
「これって……」
「変わった店名と名前だなぁって思ったんだけど、何のお店か分かる?」

名刺を見ながら私と青子は首をかしげる一方で快斗は呆れた顔をしていた。どんな店か分かったのだろうか。

「これ、ホストクラブじゃねぇか?……もしかして行くんじゃねーだろうな?」
「ホスト? あぁ、ホストか。私とは縁がないところだ。絶対来てくれって言われたんだけど」
「金ぶんどられるぞ」
「絶対料金は取らないからって言ってたよ」
「そんなの嘘に決まってんだろ」
「じゃあ青子も一緒に行こっかな! それなら心配じゃないでしょ」
「余計心配だっての。つーか、未成年は入れねぇよ」
「でも行ってみたいなぁ。興味あるし」
「興味あるだぁ!?」

快斗お母さんみたいだね、と青子と顔を合わせる。絶対来てくれって頼まれたら行かないとって思ってしまう。二人は未成年だから一緒に行けないし、どうしようかな。
突然青子が「あ!」と声を出した。

「そんなに心配なら快斗が一緒に行ったら良いじゃない。女装して」


「「えっ?」」

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