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『私は今、京都嵐山に来ていまーす。最近流行りのお店のスイーツを食べつくしたいと思います!』

テレビの番組で女優さんが嵐山スイーツを食べ歩きする企画らしい。京都の街並みって良いよねぇ。抹茶も美味しいし。


『わらべ屋さんの抹茶わらび餅。このプルプルしたわらび餅がたまりません!口の中でとろけるー!』

わらび餅……美味しそう。

『次はこちら! 抹茶パフェです。濃厚な抹茶アイスの下には白玉が隠れていました。んー! 美味しい!!』

抹茶パフェ……。

『続いてはこちらのあんみつ!』
『おいもソフト!』
『どらやき!』
『みたらし団子!』


「……よし! 京都に行こう」

口の端から垂れてしまっていた涎を拭き取って、週末京都に行くことを決意した。


快斗と青子を誘ったが、二人とも用事があって週末は空いていないらしい。となると毛利家にお誘いに行くしかない。


********************


「永愛ちゃん、いらっしゃい」
「こんにちは! 蘭ちゃん、今週末京都に行きませんか!?」
「京都かぁ。私も行きたいと思ってたのよね。週末は予定も無いし行きましょう」
「ほんと!? やったー!」
「コナン君も行く?」

蘭ちゃんはソファの上でくつろいでいたコナン君に声を掛けた。こっちを向いた彼と目が合う。

「え? う、うん。永愛姉ちゃん、どうして京都に行きたいの?」
「嵐山に美味しそうなスイーツが沢山あるってテレビで観まして……へへっ」
「へぇー」
「ねぇ、園子も誘って良い?」
「勿論! 京都だったら和葉ちゃんも来てくれるかな!?」
「そうね! 声掛けてみるね」
「わー、ありがとう。女子旅だー。嬉しい」
「……僕もいるよ?」

園子ちゃんも和葉ちゃんも空いているらしく、週末は京都で女子旅をすることになった。皆で食べ歩きしたいなぁ。


********************


「永愛ちゃん、この着物どうやろか」
「似合ってる! めちゃくちゃ可愛いよ和葉ちゃん!」
「ほんま? おおきに。じゃあこれにしよかなぁ。あ、永愛ちゃんはこっちのが良いんとちゃう?」
「ありがとう! これにする!」
「二人とも決まったー?」
「あら、良いじゃない。二人に合ってるわ」

なんと和葉ちゃんも京都に来てくれて、皆で着物を着ながら嵐山を観光することになった。着物をレンタルして髪をかんざしでまとめる。すごい、女子旅だ女子旅! 嬉しくてたまらない。

皆より先に着付けを終えて外で待つ。どこのお店から回ろうかな。やっぱり抹茶パフェからかな。確かこの近くだったはず。

「えへへ、女子旅最高」
「俺らもおること忘れてへんやろうな?」
「うげっ!……ももも勿論忘れてないよ!?」
「うげって何やねん」
「子供用の着物もあって良かったねー、コナン君」
「おう。動きにくいけどな」
「無視すんなや!」

そういえば服部君とコナン君も一緒だから女子旅ではないんだった。騒いでいる服部君を横目に、女の子の声のする方に目をやるとお店の中から三人が可愛い着物に身を包んで出てきた。キラキラ輝いている。皆可愛すぎる。

「お待たせー」
「おう、やっとか。待ちくたびれたで」
「仕方ないやん。女の子は髪のセットもあるんやし」
「ほぉー。まぁまぁやな」
「素直に和葉ちゃんに可愛いって言ったら良いのにね」
「素直になれない男は嫌われるわよー」
「ほんまやで。可愛いって言ったらどうやの」
「どこに可愛い女がおるねん!」

女の子三人に言われてプンスカと怒っている服部君。素直になれないお年頃なんだね。仕方ない仕方ない。

「ねぇねぇ私似合ってるかな?」
「あー、うーん」
「えっ! ノーコメント!?」

コナン君が酷い。そんなに似合ってないかな。ズーンと落ち込むとコナン君はわりぃ正直に反応しすぎたと謝ってきたが、その言葉が心に突き刺さった。

「オメーは着物よりもドレスの方が似合ってたなって思ってよ」
「そっかぁ。……ハァ、着物が似合う女性になりたい」


それから皆で抹茶パフェやわらび餅、お団子を食べつくした。テレビで紹介されていたスイーツを全制覇したのは私だけだったけど。

「どれも美味しかったねー」
「うんうん! 美味しかったしとっても楽しかった」
「永愛ちゃん全部食べてたけど、おなか大丈夫なん?」
「うん! 美味しいものはいくらでも入るよ」
「歩くのも疲れたし、船に乗るのはどう?」

園子ちゃんの提案に、皆が頷く。どうせなら自分で漕ぐレンタルボートに乗るのはどうかという話になった。ボートは三人乗りらしく、二手に分かれて乗ることになったが、メンバーがおかしい。

「私、女の子と乗れないの……?」
「グーとパーで分かれたでしょう。じゃあまた後でね。コナン君も落ちないように気を付けてねー」
「はーい」

蘭ちゃん、園子ちゃん、和葉ちゃんの三人は先にボートに乗って楽しそうに会話していた。三人がどんどん離れていく。

「おら、はよ行くで」
「やだ、怖い。メンバー変更を希望します」
「子供じゃねぇんだから早く乗れよな」
「はい……」

小学生に注意される二十歳……つらい。
ボートに乗って腰を下ろすとオールを渡され、進む方向を指示された。私に漕げってことですね!? 絶対そうなると思ったよ。

「行きたい方向にうまく漕げない」
「ぐちぐち言わんと手を動かせ」
「動かしてるよ!」


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