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沖矢さんは赤井さんでFBI捜査官。黒の組織に潜入していた過去がある。
安室さんの本名は降谷さんで公安警察官。現在黒の組織に潜入している。
ーーこの二人の正体を知ってしまった訳だけど、偽りの姿がありすぎて今後どう接していくべきなのか分からない。
しかし快斗も新一君も哀ちゃんも……私の周り正体隠している人多すぎない?

彼らの正体を知ってしまった日から一週間後、私は再び工藤家に訪れていた。


バイトで変な男達に絡まれたあの日、私は助けを求めてアドレス帳に登録がある誰かの番号に電話をかけた。その相手が赤井秀一で、助けに来てくれたのが沖矢さんだった。あの時は赤井秀一は電話を無視したんだと思っていたけど、ちゃんと電話に出て助けに来てくれたんだと分かった。


ガチャリと目の前の工藤家のドアが開き、沖矢さんが顔を出す。

「こんにちは、永愛さん」
「こんにちは」


そういえば私と赤井さんが面識があることを伝えたら、コナン君はとても驚いていて、どういう経緯で知り合ったのか根掘り葉掘り聞かれたっけ。それと引き換えになのか赤井さんは元々黒の組織に潜入していて、安室さんとはあまり仲が良くないと教えてくれた。

「この間頂いたお菓子、美味しく頂きました」
「それは良かったです。……あの、私コナン君から聞きました」
「……、そういえばボウヤが言っていたな。上がってくれ」
「うっ、はい」

急に話し方が変わるとびっくりするからやめてほしい。一気に雰囲気がピリッとして身構えてしまう。家に上がるつもりはなくてお礼だけ言おうと思っていたけど、彼はもう部屋に入ってしまっていたのでお邪魔する事になった。

「コーヒーで良いか?」
「あ、はい」
「……。座って待っていろ」
「はい」

コーヒー、苦手なんだけどな。ソファに座って待っていると、赤井さんがカップを二つ持ってきて向かいのソファに座った。そしてカップの一つを私の前に置く。
折角淹れてくれたんだし、飲まないと申し訳ないか。カップを手に取って口に近づけると、紅茶の香りがした。

「あれ、紅茶ですか?」
「あぁ。前に紅茶を飲んでいたことを思い出してな」
「ありがとうございます」
「あぁ」

「あの時も、ありがとうございました」
「あの時?」
「赤井さんに電話をかけた時です」
「……」
「……実は私の電話を無視したんだってずっと怒ってたんです。でも違って」
「いや、すぐに助けにいけなくて悪かったと思っている」
「え……?」

何故かそのワードをどこかで聞いた気がして、思わず息を呑んだ。いつだっけ、誰の口から聞いたんだっけ。


す、ぐに……助けに……行け、な……て、悪か……った


「あっ」
「どうした?」
「いえ、すみません。何でもないです」

思い出した。熱を出した沖矢さんから聞いたんだ。もしかしてあの時私に言っていたのだろうか。二人が同一人物だと分かった今、あの言葉に納得ができる。
しかしこんな怖そうな顔をしているのに、赤井さんってーー。

「意外と良い人ですね」
「意外は余計だ」

赤井さんは私から顔を逸らしてコーヒーを飲んだ。怒らせてしまったか、と様子を伺うが何となく怒ってはいない気がして、安心して私も紅茶を飲んだ。

「今日は何か用事があったのか?」
「赤井さんにお礼を言いに来ただけです。色々と助けてもらったので」
「ほー。意外と律儀だな」
「意外は余計です。……あっ」

同じ事を言われたばかりだなと笑ってしまった。

「前に、この家でお世話になったことがあったじゃないですか。あの時もありがとうございました」
「君は面倒事によく巻き込まれるんだな」
「運が悪いんですかね」
「そうだろう」
「うーん」
「……劇に来ていた二人は友人か?」

急に何故。しかしそういえば彼には演劇に付き合ってもらったんだ。今思えば恐ろしい人を誘ってしまったな。FBIでしょ、この人。

「幼馴染ですけど、どうしました?」
「ホー……」

それから数秒、シンとした時が流れる。

「え? 何か!?」
「君は幼馴染から随分と愛されていると思ってな」
「二人とも心配性なんですよね。でも赤井さん、二人とは話してないですよね?」
「演技中、君を抱きしめたら今にも噛みついてきそうな勢いで睨まれた」
「……」

睨むってそんな。薄暗かったしそう見えてしまっただけだろう。多分。とりあえず赤井さんには謝っておいた。

彼が急に立ったかと思えば、紅茶のおかわりとお菓子を持ってきてくれた。子ども扱いされている気がしなくもないが素直にいただいた。

「そういえば赤井さんってFBIなんですよね?」
「そうだが」
「じゃあやっぱり強いんですか?」
「少なくとも君よりは」
「お時間あるときに戦い方、教えてください!」
「君は俺のことが苦手だと思っていたが?」
「苦手でしたけど、今日苦手じゃなくなりました」

そう言ってクッキーをパクリ。それを彼に見られていて、菓子で釣られたか、と鼻で笑われた。




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