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沖矢さんの家にやって来た。沢山迷惑をかけたお詫びにお菓子を買って。インターホンを押すと、マスクをした沖矢さんが出てきた。

「こんにちは」
「君は……」
「あの最近色々とご迷惑をお掛けしたので」
「……すみません。時間が無いので中に入ってもらえますか?」
「えっ。えぇ!?」

彼に腕を引っ張られ家の中に入ると、コナン君がいた。彼は私を見るなり頭に手を当て溜息を吐いた。

「オメー、タイミングわりぃな」
「えぇー……」

もう何が何だか。
それからコナン君に引っ張られ、モニターが沢山並んでいる部屋に入らされた。モニターには別の部屋の映像が流れていて、机の上にマイクが置いてある。複数台のカメラを設置してるんだ。

「ねぇ、誰か……危ない人でも来るの?」
「こういう時、察しが良くて助かるぜ。来るんだよここに。バーボンが」
「バーボン!?」
「あぁ。バーボンが来たら俺が沖矢さんのフリしてこのマイクでバーボンと会話する。だから」
「うん、絶対喋らない」
「おう」
「でもどうして沖矢さんとバーボンが……?」
「沖矢さんは……いや、オメーは知らねぇか。バーボンの正体が分かった。それで」

ーーピンポーン。突然インターホンの音が鳴った。
コナン君は話すのをやめイヤホンマイクを装着して、私に別のイヤホンを渡した。何が始まるのか分からないけど、今から起きることはとても重要な事なんだろうと思った。

モニターが見える位置に座って大人しく見守る。そういえばさっきバーボンの正体が分かったって言ってたよね。バーボンの正体は安室さんなんじゃないの?


家の中に安室さんが入ってきたのがモニター越しに分かった。イヤホンから「ミステリーはお好きですか?」と安室さんの声が聞こえる。そして私の隣にいるコナン君が答えると、まるで沖矢さんが答えたかのように見える。
そして安室さんとコナン君がミステリーの話をし始めた。何故こんな話をしているのかは全く分からない。


「現在私の連れが貴方のお仲間を拘束すべく追跡中……。流石の貴方もお仲間の生死がかかれば素直になってくれると思いまして」

安室さんの連れが沖矢さんの仲間を追跡中? 沖矢さんの仲間というのが誰かは分からないけど、黒ずくめの組織に追われてて危ないって事だよね。

「でも、出来れば連絡が来る前にそのマスクを取ってくれませんかね? 沖矢昴さん。
ーーいや、FBI捜査官……赤井秀一」

赤井、秀一……? 赤井秀一ってあの? 私の知ってる人?
FBI捜査官って言った?
今から安室さんの正体が明かされると聞いていたのに、沖矢さんの正体を知ってしまった……? 安室さんと赤井さん、コナン君は一体どういった関係なんだろう。どうしよう、分からないことが多すぎて混乱してきた。

私が隣で混乱している事も知らずに、コナン君はマイクで沖矢さんとして話し出す。

「君がそれを望むのなら仕方ない」
「それは有難い」

そしてモニターに映るのは、マスクを取った沖矢さんと眉を顰めた安室さん。

「何のつもりだ」
「ゴホッゴホ。少々風邪気味なのでマスクをしても良いですか? 君にうつすといけない」
「そのマスクじゃない、その変装を解けと言ってるんだ。赤井秀一」
「変装? 赤井秀一? さっきから何の話です?」


その時、安室さんの携帯電話が鳴り、電話に出ると彼は何を聞いたのか慌て始めた。それを見てコナン君は口角を上げる。
どうやら別の場所に赤井さんがいるようで、沖矢さんの正体が赤井さんという推測は安室さんの勘違いだったようだ。

電話を切ると安室さんは、すみません何か勘違いだったようで、と言って帰って行った。家のドアが閉まると、コナン君はイヤホンを取って机に突っ伏した。疲れたんだろうなぁ。

おーい、もう良いぞー、と下から沖矢さんの声が聞こえる。やっぱり沖矢さんは赤井さんとは関係なかった。いや、しかしコナン君が沖矢さんのふりして話したり色々したのってまるで……沖矢さんの正体が安室さんにバレてはいけないような。

「ね、ねぇ、コナン君。沖矢さんって……」
「あぁ、訳あってFBI捜査官が変装してる姿だよ」
「じゃあ安室さんが言ってた沖矢さんの正体が赤井さんって言うのは合ってたってこと?」

コナン君はコクリと首を縦に振る。やっぱりそうなんだ。沖矢さんとは初対面だと思ってたけどそうじゃなかったんだ。

「それともう一つ、安室さんの正体は降谷零ーー警察庁警備局警備企画課所属の公安警察官だ」
「え、警察なの? 黒ずくめの組織なのに?」
「組織に潜入捜査してるんだよ」

「じゃあ……安室さんは……敵じゃ、ない?」
「ま、そうなるな」
「はぁぁぁぁぁー……」

快斗や青子、私の周りの人達は殺されない、そう思うと体の力が抜けて思わずその場で座り込んでしまう。良かった……本当に良かった。

するとガチャリと部屋のドアが開けられて沖矢さんが入ってきた。あれ、沖矢さんと赤井さんは同一人物で、赤井さんは別の場所にいた。……ってことは。

「貴方誰ですか!?」
「ハハッ、久しぶりだね」
「えっ!? コナン君、起きて。この人どなた!?」
「起きてるって。俺の父さんだよ」
「コナっ、新一君のお父さん!?」

それからマスクに変声機がついていたことや、新一君のお父さんが沖矢さんに変装していた一方で、新一君のお母さんがお父さんに変装していてテレビに出演していたことを知り、怖くなった。工藤家、変装のレベル高すぎないか。



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