×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -



誰かに命を狙われている私にコナン君が告げたのは、犯人が分かるまで工藤家で過ごせということだった。

「まっ、沖矢さんがいれば安全だろ」
「やっぱり沖矢さんが住んでるんだよね!?」
「そりゃあな、誰かと一緒にいないと危ねぇだろ」
「若い男女が同じ屋根の下だよ!? 心配だと思わない?」
「オメーと昴さんが? ナイナイ。絶対ねぇから安心しろ」

鼻で笑われた。完全に馬鹿にされてる。工藤家で沖矢さんと二人で生活。全然想像出来ない。快斗と青子にも一応暫く友達の家に泊まるって連絡を入れといた方が良いよね。快斗なんて特に心配性だし。

「ところで沖矢さんって普通の学生なんだよね?」
「へ!? そうだぜ」
「蒸気機関車の時も協力者だったし、彼の事あんまり分からないし怪しいし」
「大丈夫だって。なんかあったら守ってくれると思うし」
「えー……」
「事情はもう伝えてあるから、荷物用意して早く行くぞ。何かあってからじゃ遅いからな」


********************


荷物をまとめて工藤家に行くと、沖矢さんが出てきた。因みにコナン君は用があると言ってついてきてくれなかった。心配してくれてるのかそうでないのか。とりあえず来る途中は何も起きなかったので安心した。

「話は聞いてます。大変でしたね」
「はい。ご迷惑をお掛けしますが、よろしくお願いします」
「いえいえ、どうぞ」

使って良い部屋に案内され、荷物を置く。バイトは当分の間やめておいた方が良いと言われたので、連絡を入れてバイトの予定を無くした。

そして沖矢さんと連絡先の交換をし、一週間のスケジュールを念のため伝えておいた。

「早く犯人を見つけないといけませんね。まだ姿は見てないんですよね?」
「はい。どんな人なのかも全くです」
「ではカフェでも行きましょうか。この家に被害が出ても困りますし」
「ご迷惑をおかけします……」

パパッと捕まえちゃおうぜといった軽い感じなので、気が抜けてしまう。

家を出てカフェへ向かう途中、彼は何度か後ろの様子を伺っていた。振り向きはしないが、気にする仕草が見てとれた。

しかし特に何事もなく、女性が好きそうなパンケーキのカフェに入る。パンケーキと紅茶を注文し、一息つく。コーヒーだけを注文した沖矢さんを見てハッとする。

「すみません。女性が多いところなんて入りにくかったんじゃ……」
「いえいえ。男一人では中々入れない所なので寧ろ入れて嬉しいですよ」

「お待たせ致しました。どうぞ」

ウェイトレスの方が注文したものをテーブルに置く。ホイップクリームとメープルの乗ったふわふわなパンケーキが美味しそうだ。一口食べると口の中でとろけた。

「美味しいです……!」
「それは良かった」
「沖矢さんも食べませんか?」
「では一口頂けますか」
「はい!」

一口サイズにナイフで切った後にハッとする。フォークは私が持っている一本だけ。一口のためにわざわざフォークをもう一本貰うのもなぁ。でも間接キスになっちゃうし。

「どうしました?」
「その……フォークどうしようかな、と」
「あぁ。口に入れて下さい」

そう言って正面に座る沖矢さんは口を開ける。あーんしてって事ですよね。これってカップルがする事なんじゃ。あぁ、でもずっと口を開けさせるのも悪いし。

パンケーキにフォークを刺して沖矢さんの口の中に放り込んだら、口角を上げて食べていた。

「沖矢さん、クリームが口の端についてます」
「あぁ」

口の端についたクリームを舌で舐めとる姿にどきりとして、変な想像はしてないけど何故か申し訳ない気持ちになった。

「美味しいですね。ありがとうございます」
「ふふ、美味しいですよね」

パンケーキをもう一口食べて、紅茶を飲もうとしたら沖矢さんに手を掴まれる。突然のことに驚き彼の顔を見ると眉を潜めていた。

「その紅茶、何か入ってます」
「えっ? 何が」

私から紅茶を取り上げて沖矢さんは紅茶の匂いを嗅いだ。まだ砂糖も入れてないけど、レモンが入ってたとか?

「毒ですね」
「!?」
「さっきのウェイトレスか。永愛さんは警察に連絡してて下さい。紅茶には決して触らないように」
「は、はい」

沖矢さんは紅茶を運んできた店の人を探しに行った。警察に連絡を入れて、ボーッと紅茶を見る。何も入ってないように見えるんだけど、本当にこの中に毒が? 彼はどうして分かったんだろう。やっぱり普通の人じゃない。

でももし私一人でカフェに来ていて、この紅茶を飲んでいたら……。

「…………」

毒を飲まなかったはずなのに目が回る。だめだ、怖い。

その時、肩に手が置かれ思わずびくりと大袈裟に肩を上げてしまった。

「すみません。逃げられてしまったようです」
「そ、そうですか……」

沖矢さんが戻ってきた。捕まえれなかったってことは、また私は狙われる。いつか殺される。

「私、死ぬのかな……」
「死なせませんよ、僕が隣にいる限りはね」

そのうち警察がやって来て、紅茶には毒が入っていると聞こえた。視界が回る。体が震える。気分が悪くなり、そのまま目を閉じた。
prev- 64 -next
back