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消えた7号車の謎を解きに私達は車掌さんに話を聞きに来ていた。しかし謎を解くのが苦手な私は、哀ちゃんを狙う怪しい人物がいないか神経を尖らせていた。

いつの間にやら話が終わったのか、蘭ちゃん達の部屋へと向かうコナン君達。そしてコナン君は蘭ちゃん達の嘘を見抜いた。8号車と言われていた部屋は7号車だったのだ。


「それより、初めましてだよな?」
「え?」
「君だろ? 灰原って子」
「あ、あぁ」
「君とは一度お話ししたかったんだよね」

また哀ちゃんが怯えた表情をした。真純ちゃんに? 何故、どうして怯えているんだろう。この怯え方は組織の人がいた時と同じ。まさか真純ちゃんが……いやそんなこと考えたくない。

しかし怯えた少女を見て見ぬ振りは出来ず、二人の間に入り込み真純ちゃんに話しかける。

「この子とっても恥ずかしがり屋なの。でも真純ちゃんもこの列車に乗ってたなんて嬉しいなぁ」
「え、あぁ。この前の海振りだよな。あの後も修行してたのか?」
「うん。たまに蘭ちゃんに相手してもらったりしてちょっとだけどやってるよ!」

話が逸れて良かった。不意に真純ちゃんは私の後ろのドアに視線を向けると同時に目を見開いた。

「誰だ!?」
「えっ?」

急にドアへと駆け出し廊下をキョロキョロと見回す彼女に周りがざわつく。

「今、扉越しに誰かが覗いてたって思ったけど、気のせいか」
「何それ、怖い」


********************


何やら事件の香りがしたので逃げるように食堂車へ向かった。ちょうど小腹も空いていたし。少しの間だけ哀ちゃんはコナン君に任せた。何か食べたらすぐに彼女達の元へ戻ろう。

食堂車には毛利さんと安室さんがいた。二人も来てたんだ。

「こんにちはー」
「おう、オメーも来てたのか」
「こんにちは、永愛さん」

ポアロのエプロン姿も似合うけど、今日のスーツ姿の安室さんは特別かっこいいな。うっとりと見つめていると毛利さんに「何ぼーっとしてんだ」と注意された。

「では僕は部屋に戻りますね。毛利先生と永愛さんも早めに戻った方が良いですよ。推理クイズがもう始まってる時間なので」
「了解です!」

安室さんが去り私は運ばれて来たご飯を口にしたが、毛利さんは相変わらずワインを美味しそうに飲んでいる。

「毛利さんは戻らないんですか?」
「俺は良いんだよ」
「まぁまぁ。よし、じゃあそろそろ戻りましょう」
「ハァ!? 飯食ってたんじゃねぇのか、ってもう食ったのかぁ!?」

毛利さんの腕を掴み、手に力を込めて無理矢理彼を立たせた。お前は蘭か、と呆れた顔で溜息を吐かれたが、気にせずに彼の腕を引っ張りながらコナン君達の元へ戻る。

途中、この列車内で事故があったと耳にした。人の集まるところへ二人で向かうと、真澄ちゃんが車掌さんに事故があったのに何故近くの駅に止めなかったのか怒っているところだった。

「まぁ、ご心配ご無用」

毛利さんがスタスタと真澄ちゃん達の方へ歩く。そして名古屋駅に着く前に、事件を解決すると自信満々で言い放った。調子よく笑い声をあげる毛利さんを横目に、膝を曲げてコナン君に話しかける。

「コナン君、ごめん。哀ちゃんって今どこに?」
「部屋に戻ってるよ」
「じゃあ私も戻るね」
「おう」

探偵三人と車掌さんが事件の謎を解いてくれることを信じて、私は哀ちゃんの元へと足を進める。


「失礼しまーす」
「永愛ちゃん!」
「アンタどこ行ってたのよ」

戻ると、蘭ちゃんと園子ちゃんもこの部屋に来ていた。事件があったばかりだし、皆で固まっていた方が良いだろう。

「ちょっと小腹が空いて食堂車に……」

そう言うと皆に呆れられたので笑って誤魔化しておいた。博士の隣に腰を下ろし、手招きで哀ちゃんを呼ぶ。とても不安そうな顔をしているのがマスクで顔が隠れていても分かる。皆がそれぞれ話している中、私は彼女に声を掛けた。

「何かあった?」
「……」

返事は無いが反応はあった。目が合った瞬間、どうしようと言われているようなそんな気がした。

「大丈夫、側にいるよ」

震えている手の上に自分の手を重ねる。彼女はゆっくりと首を縦ったが、少しでも不安を取り除くにはどうしたら良いのだろう。

「!?」

突然、哀ちゃんがびくりと肩を上げた。そしてポケットから携帯電話を取り出し、メールを見る。内容が気になり、悪いと思いながらも携帯を覗く。


ーー覚悟は決まった? ベルモット


「!!」

ベルモットって、黒の組織の一員。以前に見かけた綺麗な女の人だ。覚悟って、何の……まさか!

「あ、哀くん、どこへ行くんじゃ?」
「トイレ……風邪薬も飲むから、ちょっと長いかも……」
「哀ちゃん! わっ私も!」

メールの内容に驚きのあまり慄然として反応に遅れてしまったが、ここから出て行くと言う彼女に焦ってついて行く。

「永愛ちゃん、私も……!」
「蘭ちゃん! 大丈夫、あの子は私が……って、あれ」

先に出て行った彼女は、私がドアを開けた時にはいなくなっていた。そんな、この状況で一人に。哀ちゃんが狙われてるって言うのに……。探さなきゃ、彼女を何としてでも助けないと。その為に日々修行してきたんだ。

「私、哀ちゃんを探してくる」
「う、うん。よろしくね」


黒の組織の人よりも先に私が……。


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