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強くなりたい、そう決意したのは哀ちゃんが組織のバーボンって人に狙われると聞いた時だ。私は護身術程度の武術しか学んでない。しかも高校の三年間だけ。そこで空手部主将だという蘭ちゃんに特訓してもらおうと考えた。

毛利探偵事務所に訪ねたら、蘭ちゃんとコナン君それに園子ちゃんが寛いでいた。挨拶を交わし要件を伝えると彼女達は訳の分からない顔をして、コナン君は何か察した顔をした。

「特訓?」
「うん! お願いします! 蘭ちゃんにしか頼めないの!」
「ええっ!?」
「蘭、強いからねぇ。にしても何で突然」
「えっと、最近ドラマで女の人が戦ってる姿を見てカッコいいなーと思って!」

無理あるだろ、とコナン君のボソリと呟いた声が耳に入った。そんな事言われても挫けないぞ。

「それに体力つけておいた方が良いでしょ!?」
「そうね……」
「あっ! じゃあさー、さっきの話永愛も一緒に行くってのはどう? ついでにそこで修行やら特訓やらすれば良いんじゃない?」
「園子! それ良い!」
「でっしょー」
「?」

話がどんどん進んでいく。さっきの話って……?


********************


「海だー!」

園子ちゃんが叫んだ。私はあの場にいた三人と世良さんで白浜に来ていた。園子ちゃんの別荘が近くにあるらしく、この間は和歌山県で旅行する計画を立てていたようだ。

「蘭と永愛は特訓に行ってらっしゃい。私はイケメン探ししてくるわ」
「もー、園子ったら……。永愛ちゃん、行こっか」
「うん! お願いします!」
「なぁ、蘭ちゃんとの後はボクと特訓しようよ」
「えっ、いいの!?」
「あぁ勿論! キミともっと仲良くなりたいしね」

ぱちん、とウインクをする世良さんはカッコ可愛かった。仲良くなりたいって思ってくれてるなんて感動だ。


中に水着を着用して動きやすい格好に着替えて人の少ない方へ蘭ちゃんと向かう。砂の上の特訓って体力もついて良さそうだな、なんて考えていたら後ろで軽い足音が聞こえたので振り向くとコナン君がついて来ていた。

「コナン君も来るの?」
「まぁ一応な。一つ言っとくけど無茶はすんじゃねーぞ。蘭も世良も強いんだからよ」
「大丈夫大丈夫。私も二人みたいに強くなる!」
「へーへー」
「皆はもうすぐ着くんだっけ?」
「あぁ、博士と新幹線でな。元太の忘れ物が無けりゃ一緒に着く予定だったんだけど」

私達の他に、博士率いる少年探偵団の皆が後からやってくる。子供達がいたらコナン君も寂しくないね。口に出したら怒られそうだけど。

「あれ? コナン君は遊んでて良いんだよ?」

前を歩いていた蘭ちゃんがコナン君に気付き声を掛ける。すると彼は「僕も二人の特訓見たいんだ! 良いでしょー?」とあざとく返事をした。ほんとこの子は蘭ちゃんには可愛く対応するんだから……。

「この辺で良いかな。永愛ちゃん、どこからでもかかってきて。まずはお手並み拝見よ」
「うっ、ういっす!」


彼女に相手をしてもらって思った。やっぱり強いや、この子。拳で風を切る音が凄まじいもん。

「永愛ちゃん、中々やるわね……」
「そ、そうかな?」

蘭ちゃんには及びませんけど、と心の中で呟いた。彼女の拳をひたすらに避けて反射神経を鍛える。そして隙を見て仕掛けるが避けられてしまった。

「蘭ちゃんは銃の弾、避けれる?」

不意に思った疑問を彼女にぶつける。組織の人間は銃やその他にも危険な物を使うのだろう。

「そうね……拳銃の弾丸なら前に一度だけあるけど」

やだ、この子次元が違う。まず銃口なんて向けられたことないわよって笑い飛ばされるのかと思ってたのに、予想の斜め上をいった。すると彼女は何か思い出したのか、ふふふと笑い出した。

「前に新一がね、ライフル弾の速さはだいたい秒速1000メートルぐらい。それに比べて、拳銃は約3分の1の秒速350メートルぐらいしかないんだぜ? って言ったのよ」
「しかないんだぜ? じゃないよ! それで避けれる蘭ちゃんも蘭ちゃんだけど……」

少し離れた所にいたコナン君を見ると会話が聞こえてたのか、あからさまに目を逸らされた。でも私も拳銃の弾丸を避けることができたら……。

「よーし! 頑張るぞ!」
「その意気よ! 永愛ちゃん!」


それから一時間程、砂浜の上で私は蘭ちゃんに鍛えてもらい、その後休む間も無く世良さんに相手をしてもらった。


********************


「休憩がてらに海に入る?」
「ハァ、っそう……だね。皆の所に戻ろ」
「アハハッ! おつかれだね、永愛ちゃん」
「ありがとう世良さん。付き合ってくれて」
「あぁ! でももっと親しげに呼んでくれよ」
「じゃあ、真純ちゃん?」

嬉しそうに彼女はニパッと微笑んだ。太陽のような子だな、と思った。彼女と初めて会った時、誰かに似てる気がしてたけどそれは今だに思い出せないまま。

ジッと見つめていると彼女は首を傾げ、行こうよと私の腕を引っ張った。


皆の元へ戻ると子供達も来ていて、ちょうどビーチバレーを楽しんでいるところだった。

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