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- ナノ -

『えー!? 永愛体調悪いの!? 折角のスイーツ食べ歩きなのにー!』
「さっき快斗からも聞いた……。お腹の調子が悪くて……。めちゃくちゃ行きたい」
『もー! しっかり休んでよね!』
「うん……」

ぎゅるるるる……とお腹が変な音を出す。夜中からずっとお腹の調子が悪くてあまり寝れていない。朝、快斗から電話で錦座のスイーツ食べ歩きに誘われて泣く泣く断ったのにまた青子から誘われた。二人で楽しんできて……そしてお土産を買ってきて。


それから数時間後、ピンポーンとインターホンの音が聞こえたのでお腹を抑えながら、ドアを開けるとコナン君が立っていた。

「よう。……って調子悪そうだな」
「お腹、痛くて」
「食べ過ぎか? あー、ちょっと灰原から薬貰ってきてやるよ」
「ありがと……」

少しして戻ってきたコナン君は哀ちゃんから薬を貰ってきてくれ、その薬のおかげで私の体調はすっかり良くなった。優し過ぎて感謝しかない。

「今日の新聞見たか?」
「えっ、えぇ? いや新聞とってない。何かあったの?」
「今夜キッドが錦座に宝石を盗みにやって来る」
「へぇー。それでコナン君は行くわけだ」
「永愛も来いよ。オメーとキッドの関係を暴いてやらねぇといけねーしな」
「何の関係もないはずなんだけどね……。でも特に用事もないし行ってもいいか」

今日は同じ場所によく誘われる日だなぁ。流石に二人は夜まで食べ歩きはしてないよね。行きたかった。

「ところで今日はレモンパイねぇの?」
「いやいやところでじゃないよ!? 何で当たり前のように私の家で寛いでるのかな君は!」
「居心地良いんだよ、偶には良いだろ」
「まぁ、別に悪くはないけど」
「じゃあまた夜にな」

キッドかぁ、盗むところ見るのは初めてだ。今日は眠らされないように気をつけよう。


********************


錦座のど真ん中の宝石の置いてあるところ、という曖昧な説明の場所で集合する予定だったが、人集りが出来ていて宝石の位置はすぐに分かった。あとはコナン君達を見つけるだけ。

すると近くでズドーンと大きい音が聞こえ、そちらに行ってみればおじさんが転んでいた。何か見たことあるな、あのおじさん……あっ。

「青子のお父さん!?」
「うぐぅ、いてて……。おぉ! 永愛ちゃん!」
「大丈夫ですか?」
「あぁ。何かにつまづいてな」

彼の足元を確認しようとすると周りから歓声が上がる。どうやらキッドが登場したようだ。上空にはキッドが飛んでいる。

「現れたか……。永愛ちゃんもキッドを見に来たのか?」
「そんなところです。友達に誘われて」

そうか、と青子のお父さんがズーンと落ち込んでいた。もしかしてファンだと思われたのかな。

「私、青子のお父さん……いえ、中森警部を応援してるので! 頑張ってくださいね! キッドを捕まえることが出来たら青子も喜びます!」
「ありがとう! 永愛ちゃん!」

待ってろキッドー! といつもの威勢の良い感じに戻って走って行ってしまった。

キッドは白い煙幕に紛れ、空から宝石のある場所へと降りた。それにしてもキッドって本当ファンが多い人気者なんだなぁ。怪盗なのに。

「キャー! キッド様ー!! こっち向いてー!」

と、あんな熱狂的なファンもいて……、あれ園子ちゃんだわ。彼女の近くにはコナン君達もいて、無事に合流できた。

皆に挨拶をしている途中、巨大な網で交差点が封鎖された。園子ちゃんのおじさんが仕掛けたものらしい。これをあの怪盗はどうやって突破するのか、それとも捕まってしまうのか興味が湧いてくる。


「テレポーテーションで」

あまり聞こえなかったけど、記者の人がどうやってこの場を切り抜けるのか、聞いたのだと思う。私の聞き間違いでなければ、彼はテレポーテーションで逃げ切ると言い放った。

「まじかぁ……」

周りも驚きを隠せずにざわつき始める。コナン君に聞こうとすると彼も難しい顔をしていた。そしてまたもやキッドコールが始まり、園子ちゃんもそれに参加する。


ーー結果キッドは本当に宝石を盗んだ後、瞬間移動をして見せた。コナン君はハンググライダーで逃げるキッドに向けて、サッカーボールを蹴る。とんでもないスピードでボールが斜め上へと飛んで行った。

「え、蹴った……? あんな所まで届くんだ」

なんだこの子、恐ろしい。多分ちょっとキッドに当たったし。



その後、私達は園子ちゃんのおじさんの元へ集められた。青子のお父さんも勿論いるわけで、コナン君達や中森警部はお互いに私と知り合いだということに驚いていた。

「中森警部と知り合いだったなんてな」
「うん。実家が近所で昔から家族ぐるみの付き合いなんだよね」
「キッド専属の警部と……」

ブツブツと独り言を言いながら何か考えているみたいだけど、もしかして私とキッドの関係をまだ疑っていたのかな。

「明日の夜にも盗みに来るだと!?」

青子のお父さんがそう叫んだ。キッドが明日もここに盗みに来ると宣言した為、私も半ば強制的に明日またここに来ることとなる。
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