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博士と少年探偵団の皆、そしてコナン君と一緒に楽しくキャンプに出かけるはずだった。しかしキャンプ場に行くまでのサービスエリアで事件は起こった。殺人事件だ。

「どうして……どうしてこうコナン君といると何らかの事件に巻き込まれるのかなぁ!?」
「あら、慣れてるんじゃないの? 工藤君と以前から知り合いなんでしょ」
「慣れてないよ!!」

事件に合う時はいつも新一君と一緒だ。捜査するコナン君を横目に溜息を吐く。

「キャンプ行きたかったなぁ。ねぇ哀ちゃん」
「もう解決するでしょ。ほら見てよ、あの顔。分かったって顔してる」
「本当だ。あ、私コナン君に言いたい事が!」
「行ってらっしゃい」

私のしたい事が分かってるのか否か、哀ちゃんはやれやれと言った表情をしていた。コナン君の元へ駆け寄る。足音で気付いたのか彼は振り向いた。

「あのさコナン君」
「何だよ」
「事件は解けたのかな?」
「まぁな」
「今日は毛利さんがいないけど、誰を眠らせるのかな」
「博士に口パクしてもらう」

私の落ち着かない態度に気付いたのか、コナン君は「んだよ、さっきから」とジト目で私に問う。

「……私が代わりに事件を解くなんてどうかな」
「ハァ?」
「だ、ダメかな……」
「別にダメじゃねーけど、良いのか?」
「お願いします!」

代わりに事件を解いてみたかったんだよね。警部達に驚かれたい。するとコナン君は麻酔銃を構えた。

「待って待って! 麻酔銃はやめて!?」

コナン君から逃げて距離を取ると、意味がわからないとでも言いたげな顔をされた。

「博士には口パクしてもらうんでしょ!? 私もそれで良いんですけど!」
「プッ、冗談だよ。上手くやってくれよな」
「うん! その蝶ネクタイ私の声って出せる?」
「おう」

あー、あーとダイヤルを調節しながら声を出すコナン君。すごいな、色んな声色になるんだ。

「あー、あ、これか。お腹減ったー」
「お腹減ったの? 今食べる物持ってないや」
「いやマイクテスト」
「マイクテスト!?」

マイクテストの言葉にお腹減ったはやめてほしい。私そんなにお腹減った減った言ってるのかな。恥ずかしい。

「それじゃあ頼むぜ」
「お願いします!」

捜査している目暮警部達の元へ行き、後ろから声をかける。

「警部、私この謎が解けてしまいました」
「何!? 永愛君、聞かせてくれ」

ちょっとカッコつけてみたけど、さっきまでずっと捜査に関わらずに端っこで哀ちゃんとお話ししてたのに謎が解けるなんておかしいよね。

ここからは任せたよ、小さな名探偵。

『この事件の謎の全ては、これに隠されているんです』

後ろから聞こえる私の声に口を合わせる。そして、事件の真相に驚きながらも私は演じきった。


********************


「凄い推理力じゃないか!」
「いやー、驚きましたね。見事な推理で」

無事に犯人が捕まると目暮警部と高木刑事が興奮気味に私に話しかけてきた。警察の人に褒められるって貴重な経験だなぁ。コナン君のお陰だけど。

「またよろしく頼むよ」
「今日は偶々ですよ! 頭が冴えてたって感じで」

私の肩をポンポンと叩いて目暮警部達は去っていった。

「ありがと、コナン君」
「おう。中々の演技だったぜ」

ゾクリ。突然空気が変わった。哀ちゃんは私の服を掴み、私の後ろで体を震わせた。これは以前のバスジャックの時に見た反応だった。横にいたコナン君に小声で話しかけると、彼はスタスタと歩く美しい女性を見て一言「ベルモット」と言った。

「えっ?」
「組織の中の一人だ」

お酒の名前という事は組織の人間。そしてこっち側にとってはとても危険な人物。あのブロンドヘアの美人な女性が危険だというのか。

此方の視線に気づかれないように、彼女が去って行くのを待つ。サービスエリアのドアから出て行くのを確認して、ほっと胸を撫で下ろした。

「哀ちゃん、もう大丈夫だよ」
「え、えぇ……。ごめんなさい、掴んじゃって」
「大丈夫だよ。首を突っ込んだのは私なんだから、頼ってくれて良いんだからね」

コクリと哀ちゃんが頷く。それを見たコナン君は「本当永愛には気を許してるよな」と呟いた。心を開いてくれてるのかな。それは嬉しい。

「永愛、奴は……ベルモットは変装が得意だ。身近な人物に変装して近づいてくるかもしれねぇ。注意しろよ」
「うーん、気をつける」

変装されたら分からないよ。キッドの変装も分からないのに。快斗と青子に変装された時は完璧で本物だったもん。


でも組織の人を見るのはこれで三人目。ジン、ウォッカ、ベルモット。一応顔は覚えてるし気をつけないとな。



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