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普段あんまり乗らないバスに乗ったら、バスジャックにあいました。なんて不幸なんだろうーーーー


ショッピングをして歩き疲れたからバスに乗ろうと思って偶然乗ったバスには、コナン君を始め少年探偵団の皆と阿笠博士が乗っていた。

皆に挨拶しながら一番後ろの席に座る。

「私たち今からスキーに行くんだよ!」
「スキー! 良いなぁ」
「ねーちゃんも行くか?」
「ありがと。でもスキーの準備してないし今日はいいよ」

スキーなんて羨ましい。でもさっきから阿笠博士がゴホゴホ咳してるけど、体調悪いのにスキーに行くだなんて大丈夫かな。

「博士みたいに風邪ひかないようにね」
「そうだね」
「そうね」

前にいるコナン君と哀ちゃんにそう言うと、二人は博士を横目で見た後口角を上げながら答えた。


次の停留所に止まるとぞろぞろと沢山人が入ってきて、隣にはマスクをした男性が座った。あれ、この人どこかで見たことがあるようなないような。まぁいいか。

他に乗ってきたのは皆の知り合いだという、新出先生とジョディ先生。新出先生は帝丹高校の学園祭で見かけたことがある。


「騒ぐな! 騒ぐとぶっ殺すぞ!」

運転席近くの通路に立っていた男達が銃を出して叫んだ。バスジャック、生で見るのは、はじめてだ。「バンッ」って呑気に俳句考えてる場合じゃないわ。あの銃本物かぁ……こわっ。


哀ちゃんがさっきからフードを被ってうずくまっている。彼女も元々大人だったとはいえ、怖いのだろうか。

でもこの怯え方は尋常じゃない。まさかバスジャックに関して何かトラウマがあるとか? それとも例の組織の人が哀ちゃんを狙って……!? いやいや考えすぎだよね。


先日彼女から聞かされた話では、黒ずくめの組織が新一君に殺すつもりで薬を飲ませて身体を小さくした事。哀ちゃんもその薬を飲んでその組織から抜け出してきた事。そして二人とも生きていることが組織にバレれば、殺されるという事だった。

恐らく組織の謎はこれだけではない。でも、この三つの秘密は重要で秘密が漏れたと知れば私も組織に狙われる。変な勘繰りなんてやめておけば良かったなんて後悔しても遅い。


だけど、同じ状況に立たされているコナン君は哀ちゃんみたく怯えてはいない。ただの私の勘違い? とりあえず、コナン君に哀ちゃんの様子を聞くべきか。

「どうしたの?」
「ちょっと、ね」
「おい、携帯電話を出せ」

スマホを取り出して大人しく男に渡した。二つ隣に座っていた女性は男にガムの噛む音を注意されたが、女性は聞く耳を持たない。銃持ってる相手にすごいなこの人。しかし、男は女性の横を狙って撃った。

「……っ」

あれに撃たれたら死ぬんだろうな……。そう思うと恐怖を感じ手が震える。

「大丈夫だ」
「えっ……?」

隣のマスクの男性から声が聞こえた。顔を向けると男性はまたゴホゴホと咳をする。気のせいだったのかな。


不穏な空気が漂う中、通路を歩く男の足をジョディ先生が引っ掛けて転ばせた。う、嘘でしょ。なにこの先生、凄すぎない? 私を含め乗客が驚いていた。


しかしコナン君が怪しい動きをしたらしく、男達に見つかり床に叩きつけられたり銃を向けられる。銃を向けられた時は新出先生が彼を守ってくれたが、コナン君よ、大人しくしてて下さい。お願いだから。

「おい! そこの眼鏡の青二才と奥のカゼをひいた男! 前に来い!」

男が新出先生と隣の男性に銃口を向けて指示した。二人は大人しく従い、バスはトンネルに入る。その間にガムを噛んでいた女性も前に呼ばれた。車内が暗い間に少年探偵団の皆は、男達の荷物を持って何かしていたが私は犯人達に気づかれないように様子を伺いながら大人しく座っていた。

「永愛お姉さん。端っこに寄ってしっかりどこかに捕まっててね」
「え、うん。分かった」

歩美ちゃんに言われた通り行動してこれから起きる何かを待つ。

「よぉし、スピードを上げろ! 下手な真似はするなよ。オレ達の言う通りにすれば助かるん……」
「よく言うよ。どーせ殺しちゃうくせに」
「な!?」
「だってみんなに顔見せたって事はそーいう事でしょ? なんとかしないとみんな殺されちゃうよ……この爆弾で!」

爆弾? コナン君と博士が男達の荷物を持ち上げていた。この爆弾って事は、それ、その持ち上げてるやつ爆弾ですか? 何持ってんのあなた達。するとバスは急ブレーキをかけた。

しっかりバスの手すりにつかまってたお陰で怪我せずにすんだが、そういう事か。突然の急ブレーキで犯人達は倒れ、コナン君が動く。

「新出先生! その女の人の両腕を捕まえて! その人がつけてる時計は爆弾の起爆装置だ!」

えっ、という事はあの女性も男達の仲間なの?

「ガキが、なめたマネを……」

男は銃口をコナン君に向けた。危ない、助けに行かなきゃ……「ドンッ」

私より先にジョディ先生が男を倒した。あの人何者。普通の先生の動きじゃないよね。犯人達は一応捕まったしひと安心、とホッと息をつくと、起爆装置が動き出したと聞いて、全員が急いでバスから出る。



ーーーーあれ、今、哀ちゃん座ってなかった?


「確かめないと……!」
「君! 早くバスから離れて!」
「待って下さい! まだ中に哀ちゃ……女の子が!」

警察の人に止められ動けなくなる。だめだ、このままだと哀ちゃんが。

「永愛! 離れてろ!」
「コナン君……!」

コナン君がバスの中に入っていった。警察の人に腕を引っ張られてバスから離れる。そしてすぐにバスは爆発した。まさか二人とも……。

「コナンくーん!」
「えっ?」

少年探偵団の皆がバスの後ろへと走っていく。良かった、コナン君も哀ちゃんも無事だ。

「ハァー、もう。疲れた」
「事情聴取があるので、車に乗って下さい」
「……はーい」


********************


事情聴取が終わり、取られていたスマホも返してもらった。さて今からどうやって帰ろうか。警察の人送ってくれないかな。

「また会ったな」
「!? あ、赤井……サン。もしかして、ずっと隣にいたマスクの人……」
「あぁ。そういや君の名前を聞いていなかったな」
「あの時はありがとうございました。助かりました。では」
「永愛」
「!?」

何故バレている。

「そう呼ばれていたのを聞いてな。今から飯でもどうだ?」
「心底お断りしたいですね。ただ赤井……サンには借りがありますし、何かご馳走します」
「フッ、ではお願いしようか」

前に助けてくれた上に結構な距離を車で送ってもらった。その借りを今日で返す。そしてもう会わない会いたくない。だってこの人、危険すぎる。

「荷物持ってやろうか?」
「結構です」
「強情だな君は」


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