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園子ちゃんから豪華客船のクルーズに毛利さんや蘭ちゃん、コナン君と一緒に招待されてしまった。お金は一切いらないと言うのだからお金持ちのお嬢様って凄い。

「さぁ好きな水着選んで良いわよー」

プールもあるみたいで複数の水着が販売しており、園子ちゃんは既に三人分買っておいたから好きなものを取って良いと言った。何から何まで申し訳ないや。蘭ちゃんは早速水着を選び、私に似合いそうだと言って色んな水着をすすめてくる。

しかしここにあるのはビキニオンリー。園子ちゃんに「アンタも早く決めなさいよ」と言われて二人は着替えに行ってしまった。


「こちらは如何ですか? お客様に似合うと思いますよ」
「えっ」

淡いピンクと水色のグラデーションのビキニを若い男性店員さんに渡された。下はフリルのついたスカートタイプで可愛い。これなら着れそう。

「ありがとうございます! これにします」
「私の好みはこちらの白いビキニなんですけどね」
「そっ、それはちょっとハードルが高いです……」
「ふふっ、そうですか。では楽しんできて下さいね」

店員さんにもう一度お礼を言うと、優しく微笑んだので胸がどきりとした。早く私も着替えに行こう。


********************


「良いんじゃない? 似合ってるわよ」
「ほんとだー! 可愛い。永愛ちゃんのイメージぴったり」
「ありがとう。二人こそかわいいよ。スタイルもいいし」

着替えが終わりプールサイドで待ってくれていた二人に合流する。ビキニを綺麗に着こなす二人のスタイルが羨ましい。


「コナン君もこっちおいで」
「僕はいいよ、蘭姉ちゃん」

離れたところで水着姿のコナン君が見えた。どうして来ないんだろう。もしかして泳げないとか? コナン君の方へ駆け寄り彼の目線に合わせるようにしゃがむ。

「なっ!?」
「一緒に行こ。泳げないなら教えてあげる」
「あの、その、正面でしゃがまれるとちょっと目のやり場に困るって言うか……」
「もう、ブツブツ言ってないで行くよ」
「わぁぁぁ!」

蘭ちゃん達より先にコナン君とプールに勢いよく飛び込んだ。私を注意する二人の声が水中からでも微かに聞こえる。

「ぷはっ! 永愛姉ちゃん危ない……よ」
「プールって気持ちいいね」
「ちっちちちかい! 離して!」
「だって足つかないでしょ?」
「つかないけど……!」

足がつかないから危ないと思って、飛び込んだ瞬間コナン君を抱いて水中から顔を出した。その事に抵抗されてとても心が痛い。

まぁ逆の立場だったり、この子が元の新一君の姿だったら私が恥ずかしくて死んでると思うけど。

「ほらガキンチョ。浮き輪持ってきてやったわよ」
「ありがとう」

コナン君は浮き輪に頭を通して、蘭ちゃんと園子ちゃんの方へと足をバタバタさせて移動した。真っ赤な顔で私を睨んでいるように見えたのは気のせいかな? 心折れちゃうよ。

「ねぇ園子、さっきよりも人減ってない?」
「そういえばそうね。あぁ、きっとアレね」
「アレ?」
「宝石よ宝石。この船に展示してあんのよ。確か昼過ぎから公開するって言ってたわ」

宝石かぁ。こんなすごい豪華客船の中に展示するくらいだから宝石もすごいんだろうなぁ。

「ねぇねぇ、それってキッドが次に狙ってる宝石?」
「そうよ。ここで展示した後、次郎吉おじ様が預かることになってるの。確か予告では明後日キッド様が盗みに来るはずよ!」

「えっ。大丈夫なの? ここに展示しちゃって」
「大丈夫よ。今日は盗まれないんだから。あ、そうだ。永愛も明後日うちに来なさいよ」
「いいよいいよ。だってキッドが来るんでしょ? 警察の邪魔になっちゃう」
「良いから。キッド様見たことないでしょ? かっこいいんだから見に来なさいよ」
「お、おっす」

園子ちゃんの迫力にはいつも負けてしまう。彼女が良いと言うのだからまぁいいか。実はキッドに会ったことあるんだけどね。

キッド担当の警部といえば青子のお父さんだったよね。うん、許してくれそう。


********************

少し泳いで小腹が空いたのでかき氷でも食べようかな、とかき氷を買いに来た。ついでに皆の分も買ってあげよう。


かき氷四つを買い、トレイの上に乗せて皆の元へと向かおうとすれば、後ろから肩を叩かれた。振り向くと知らない男性が二人。

「君、俺らと一緒に遊ばない?」
「えっ、私……ですか?」
「そうそう。君めっちゃ可愛いし、あそこにいる可愛いお友達も今俺らの連れが誘ってんだよねー」

そう言われ蘭ちゃんと園子ちゃんの方へ見ると、プールサイドで二人の男性から声をかけられている。コナン君はどこに行ったんだ。困ったな、かき氷四つ買ってきたのに溶けてしまう。

「すみません。他にも一緒に来てる人がいるので」
「それも女の子? じゃあその子も一緒に俺らと遊ぼうよ」

「お客様、無理矢理のお誘いはおやめ下さい」

私の手を掴んでいた男の手首を持ち、私たちの間に入ったのは先程の店員さんだった。

「何だ? 文句あんのか?」
「あまり迷惑な行為をされますと、それなりの対応はさせていただきますが」

男達は舌打ちをして、蘭ちゃん達に声をかけていた人達と一緒に去っていった。

「ありがとうございます」
「大丈夫でしたか?」
「はい。おかげさまで」
「……」

店員さんは急に黙り、私を上から下までじっくりと見るので、思わず手で胸元を隠す。

「やっぱりよく似合ってます。ですが露出が多くて風邪を引いてはいけない。このバスタオルを羽織っていてください」
「えっ!? あ、ありがとうございます?」

バスタオルを今どこから出した? さっきまでは持ってなかった筈なのにおかしい。私が見えていなかっただけなのかな。でも、体調まで気にかけてくれるなんて優しい人だ。


彼にもう一度お礼を言って、蘭ちゃん達の元へ戻った。



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