×
「#エロ」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -

黒衣の騎士が仮面を脱いで素顔を現した。 この場にいる全員の視線の先にいたのは、高校生探偵、工藤新一君だった。


新一君!? え、何で? 服部君と顔を見合わせ、口パクで「どういうことや」と聞かれたが、私も全く分からないので首を横に振っておいた。

勝手に服部君と新一君の協力者になろうとしていたが、他に協力者がいるみたいだ。新一君とコナン君、どっちが本物?


新一君の登場に周りは驚愕するも、推理は高校生探偵の二人によって進められる。
そしてこの殺人事件は解決したが、新一君は息を荒くして倒れてしまった。彼は保健室に運ばれ蘭ちゃん達も保健室へと向かって行く。

しかしコナン君は服部君に耳打ちしていた。怪しい……後で服部君に聞いたら教えてくれるかな。



********************


「あぁ。あのボウズ、ちっさいねーちゃんが変装してたんや」

教えてくれないかな、なんて思っていたけどあっさりと教えてくれた。教えてくれるのはさっき食べたたこ焼きのお詫びらしい。

「小さいお姉さん? 私知ってる人?」
「ボウズと一緒の小学校で茶髪の」
「茶髪……哀ちゃんか」

成る程、彼女が協力していたのか。あの鋭い目は彼女のものだったのか、と思うと納得だ。しかしあの変装と声、一体どうなっているんだろう。

「私が言うのも何だけど、私にこんなにベラベラ喋っちゃっていいの?」
「せやかて殆ど分かっとるお前に隠しても仕方ないやろ。それに正体知っとるってまだ工藤に言ってないんやろ?」
「そうだけど」

「アイツが自分の事がバレてるって気付くんも時間の問題やろうけどな」
「そうかなぁ」
「じゃあ工藤んとこ行こか」
「そうだね」


********************


翌日、蘭ちゃんやコナン君と登校している新一君を発見した。本当に新一君なんだ。久しぶりに見ると懐かしく感じるなぁ。
私に気付いた蘭ちゃんは横断歩道の向こう側から手を振ってくれたので、手を振り返しながら横断歩道を渡る。

「おはよう永愛ちゃん」
「よっ!」
「二人ともおはよう!」

私も大学へ向かいながら三人並んで歩く。新一君を見るのは久しぶりだと口にすると、蘭ちゃんは彼に対する愚痴が止まらなかった。久しぶりに会う嬉しさの照れ隠しだと思うけど。


苦笑いで私を見た新一君に、蘭ちゃんには聞こえないようにこっそりと尋ねる。

「ずっとその、すが……いや、ずっとここにいるの? 事件で忙しかったんでしょ。もう大丈夫?」
「永愛……。バーロー、そんな暗い顔すんじゃねーよ!」

ワシャワシャと頭を撫でられて髪が乱れる。質問には答えてはくれなかった。

「あのさ、」


ーー私もその組織とか薬とかに関わってもいい? 私が関わると迷惑?


聞きたいけど何となく返ってくる言葉は分かってるから、心の中にしまっておいた。

「どうした?」
「なんでもない」
「お、おう?」

「もうこんな時間!? 早く行かないと……!」

蘭ちゃんは時計を見て焦りだしたので、高校生は大変だな、と思いながら彼女らに手を振る。

新一君は「待てよ。蘭姉ちゃん」と蘭ちゃんを追いかけて行ったので、ついふき出して笑ってしまった。


********************


「永愛姉ちゃん、こんにちは」
「こんにちは。久しぶりだね。そういえば新一君って今どうしてるか知ってる?」
「新一兄ちゃんなら、また事件でどっか行っちゃったみたい」
「そっかぁ。大変だなぁ」

数日後の夕方、学校帰りのコナン君と哀ちゃんに遭遇した。哀ちゃんがいるのを見て、新一君また小さくなっちゃったんだね、とつい口から出そうになったのを耐えた。


「少し家に寄ってくれない?」

哀ちゃんからの言葉は私に向けられたもので、素直にいいよと頷く。コナン君も行こうとしていたが止められていた。という事は、コナン君抜きの二人で話したいことがあるという事だ。

「じゃあね、江戸川君。行きましょ」
「あ、オイ! ……ったく」

「じゃあね、江戸川君」
「真似しなくていいから……」

スタスタと小さい歩幅で歩く哀ちゃんのペースに合わせて横に並ぶ。何の話なのか聞いてみると、家で話すと言われたので大人しく隣を歩いた。


博士の家に着き玄関を開けるが中には誰もいない。博士は不在のようだ。ソファに腰かければ哀ちゃんは正面に座った。真剣な顔つきだったので真面目な話だろうと察する。

「この間の文化祭の時、気付いてたの? 私が江戸川君の格好をしてたって」
「哀ちゃんかは分からなかったけど、コナン君じゃないなって何となく思ってただけだよ」
「その割には私だと知って驚かないのね」
「服部君に教えてもらってたからねぇ」

哀ちゃんは呆れて溜息をついていた。そしてハッと一瞬で真剣な顔つきに戻る。


「……貴女、どこまで知ってるの?」
「どこまで、か。哀ちゃんにどこまで話すべきかな」
「全部よ」
「あ、はい」

私が推理していた新一君のことは、全て哀ちゃんは知っているのだろうかと疑問に思ったけど、何となく知っているような気がして全て話した。

偶然聞いてしまった組織や薬の事も話すと目を見開いていた。

「そこまで知られていたなんて。貴女、探偵か何か? ただの一般人じゃないでしょ」
「やだなぁ、偶然だよ。私事件の推理とか出来ないもん」

「……中途半端に知っていても逆に危ないかも知れないわね」
「教えてくれるの?」
「えぇ、仕方なくね。だけど今から言う話は江戸川君には内緒よ。勿論、他の人にもね」

私は危険を覚悟で、哀ちゃんの口から全てを教えてもらった。話を聞いてから思った。関わらない方が良かったのかも知れない、と。

prev- 18 -next
back