愛と思惑の業 | 【導入@夏の日の依頼】 この導入は個別で行うのが望ましい。個別に行う場合は、舞台となる場所を変えること。(ex/喫茶店、ファミレス、事務所、公園など) 探索者同士が情報交換をしたときに、もしかしたら同日同時刻に同一人物から呼び出しを受けていたのでは…となると面白いかもしれない。 ▼導入@ 8月の半ばのこと。探索者はとある人物に喫茶店に呼び出された。その日は平日だった。3日ほど前に祝日があったのを覚えている。しかし世間では夏休みだろうに、店内は思いのほかがらんとしていた。時刻を確認すると14時26分を指しており、それから数分後、探索者を呼び出した人物は概ね待ち合わせの時間通りにやってきた。 内藤真二と名乗った彼は、40歳くらいの中年の男だ。質のいいスーツを着ていて、高そうな腕時計をつけている。彼は名刺を渡し終えるやいなや、手にしていたアタッシュケースを開いて見せた。中には札束が詰まっている。男はこう切り出した。 「これは前金です。あなたが依頼を受けた場合、成功・失敗を問わず、これを差し上げましょう。成功すればさらに2倍の報酬を支払います」 「依頼に必要な経費は全てこちらで負担します」 「あなたが大金に動かされるような人でないというならば、どうか善意と良心でもって依頼を受けていただきたい」 依頼内容については受ける場合にのみ、教えるという。 探索者が依頼を受けると言うと、男は内容について話し出す。 「消えた娘について調べて欲しいのです。私の娘だけではなく、我々の娘たちです。多くの娘達が消えました。私は代表で、保護者たち全体が今回の依頼主です」 「彼女たちはなぜ消えてしまったのか、今どうしているのか、もしくはどうなってしまったのか、犯人がいたとして誰なのか、動機は何か…。どんな些細なことでもいいのです。この件について、私立貴秋学院大学附属高等学校に潜入し、調査して頂きたい」 男に失踪事件について質問ができる。質問がなければ依頼主は帰る。 ・失踪事件とは?…娘がある日突然姿を消す。同じようなことが何件も起きている。 ・学校の対応は?…世間の目を恐れ、保護者に大金を渡し口止めしている。今回の報酬や費用は口止め料でまかなっている。教師もだんまり。 ・警察には?…学校を経営している貴秋家は各界に多大な影響力を有している。そのため揉み消されかねないし、どんな報復を受けるか…。 ▼編入先決定 編入先を決定する。 どの学年に編入するか、探索者が決める。また男子生徒としてか、女子生徒としてかも決める。その後、1D6のダイスロールを行う。(出た目に合わせてA〜F組に振り分けられる。何組になったかは導入Aで伝える) ▼事前調査 潜入前に事前調査をしてもいい。なんらかのロールを行うといいが、KPの裁量で。以下のことについて調査可能。 ・貴秋高校について 貴秋家が運営する私立高校。共学。全寮制。学力はそこそこ高め。経営難との噂も。 ・貴秋家について もとは華族らしく、その後も商売で成功したようですごいお金持ち。現在は学校経営のみを行っている。 ・事件について ネットには情報が一切ない。警察側にもない。誰かが揉み消しているのだろうか? ・依頼主代表について 渡された名刺から会社を経営していることがわかる。調べるとホームページを見ることができる。生産元を意識するような商品を取り扱っているため、有名な会社かは不明である。評判もわからない。詳しく見てみると社員紹介ページに代表取締役社長として彼の写真が載っている。依頼主は写真の人物で間違いなさそうだ。 【導入A理事長室にて】 9月の最初の日曜日。探索者は貴秋高校に到着した。本日から潜入開始である。現在時刻は午後4時頃だが、全寮制の学校だからか部活動以外にも学生の気配が有り、賑やかな印象である。 職員に案内され理事長室前にやってきた。探索者を送り届けると職員は去っていく。説明等は中で行われるようだ。 ▼理事長室にて 扉を開け室内に入る。中には3人の人物がいた。1人は入口に近い来客用ソファーに座っており、1人は対面の理事長の椅子に腰掛けていて、もう1人はその後ろに控えるようにして立っている。全員学生服に身を包んでいる。みな、学生なのだろう。 理事長席に座る人物が口を開いた。 「これで全員揃ったというわけだ。ようこそ編入生諸君! 貴秋学院大学附属高校へ! まあ、座り給え」 探索者が来客用ソファーに座ると、理事長席の人物は続けた。 「理事長室に私のような学生がいて驚いたかね? はは、なに、私は勝手な大人たちから全て丸投げされた一学生に過ぎないよ。結局のところ、彼らはお金が欲しいだけなのだよ」 「…なんてね。実際は、多忙な理事長代理殿に代わって、私にお鉢が回ってきたというだけだよ」 「さて、冗談はこれくらいにして自己紹介といこうか。私は北條夜半。ここのキング、つまりは生徒会長だ。(北條夜半の立ち絵を開示する)」 次に口を開いたのは夜半の後ろに控えていた人物だ。(灰場海紺貴の立ち絵を開示する。事前に髪色を選んでおいてもらうと良い) 「はいはーいっ! ボクは灰場海紺貴! 生徒会書記の1年生だよっ! よろしくね」 探索者を含む編入生の自己紹介を促す。誰もやらなさそうなら澪が行う。 「(烏丸澪の立ち絵を開示する)わ、わたしは烏丸澪、です。16歳! 1年生です…」 全員が自己紹介を終えると、再び夜半が話し出す。 「ふむ。見てわかっていることだが、一応念のため聞きたいことがある。君たちの中に女子はいるかね? いるならば即刻この学校を去りたまえ。何の目的があって高い金を払って編入してきたのかは知らないが、ここは女子によろしくない」 「男子諸君は安心するといい。実に有意義な学生生活を保証しよう」 「まあ、私の発言に強制力はないので、助言程度の認識で構わないが」 ・なぜ女子はだめなのか…共学とは言っているが、理由あって現在この学校に女子生徒は1人も在籍していない。男子校状態だ。危険な感じがするだろう? ・女子がいない理由は?…学校の問題だ。あまり他言するなと言われている。(このとき失踪事件について述べてもいい回答は得られない。そしてNPCに警戒される) ・夜半が女子では?…すまない。こう見えて立派な男子だよ。家の事情でね。私は体が弱いんだ。だから古い慣習にあるように成人までの間は、免疫力に優れた女子にあやかろうとこの姿をしているんだ。 その他の質問にも答えられる範囲で答えてくれる。なければ手続きを終わらせ、寮に向かうことになる。寮に向かう前にKPは編入生のクラスを発表する。尋ねられれば生徒会メンバーの分も答えてよい。 ・烏丸澪 1年D組 ・北條夜半 2年A組 ・灰場海紺貴 1年A組 ▼生徒会寮にて 「男子寮は満杯、女子寮は閉鎖してしまっていてね、唯一空きのある生徒会役員専用の生徒会寮に入寮してもらうことになる」 「役員はまあまあいるんだけどね、任期の度に引っ越すのは面倒だーって言ってあんまり人がいないの。ボクと夜半ちゃんと誉ちゃんの3人だけだったから、賑やかになって嬉しいよ!」 寮に到着したのは午後5時頃だ。(生徒会寮の間取り図を公開する) ○部屋の振り分け ・201…誉 ・301…夜半 ・302…海紺貴 ・303…澪 ・304…空き部屋(寮生はよく知らないようだ) ・202〜204…探索者で好きな部屋を選ぶ ○各部屋について 鍵が配布される。外鍵と内鍵がかかるようになっている。マスターキーは寮母が持っている。各部屋には机、本棚、ベッド、クローゼット、トイレ、シャワールームが完備されている。 「ボクみたいに鍵を無くさないようにね! 閉められなくて不便だし、みんなにはすっごい怒られて最悪なんだから! 」 ○寮の規則について 大浴場、ホールなどの談話スペース、食堂、1階のトイレは共用。午前7時から午後10時まで自由に利用できる。 朝食は各自自由にとる。(午前7時には寮母が用意してくれる) 夕食は午後7時に全員でとる。よって通常の門限は7時。 外出・外泊には寮母の許可が要る。その場合の門限は午後10時になる。 午後10時は消灯時間で、以後自室から出てはいけない。消灯時間後に、他人の部屋に入ってはいけない。自室に招くのもダメ。寮母の見回りがある。 規則を破った場合ペナルティがある。(KPが適宜判断) →寮内で1日過ごすとか。 その他わからないことは寮母まで。 ○大浴場について ほぼ使われていない。誘っても夜半は性別の都合で、誉は人付き合いを避けるため入らない。海紺貴や澪は入ってくれる。 ▼自由時間@ 説明があらかた終わると、時刻は午後5時半頃に。夕食まで自由時間となる。ただし寮内での活動に限る。澪に接触すると、探索者全員を集めて話がしたいという。(▼澪の告白へ) ▼夕食 寮の全員が集まった。寮母ともう1人の寮生の紹介が行われる。20代後半の女性と学生服の青年だ。 「寮母のアスカだよ。問題を起こさないように正しく過ごしてね」 「3年の貴秋誉だ。生徒会の副会長をしている(誉の立ち絵を開示する)あまり馴れ合う気はない。北條たちと仲良くしていればいい」 基本的に誉は塩対応。何事もなければ夕食後の自由時間に移る。 夕食を終えると誉はすぐに自室に戻ってしまう。夜半は「8時半にはホームルームが始まる。寝坊には気をつけるように」と言って自室へ。(海紺貴はアスカと世間話をしている) ▼自由時間A 消灯時間までの自由時間。寮内での活動が可能。自由時間@で澪と話していない場合「話がある」と探索者は集められる。(▼澪の告白へ) ▼澪の告白 澪に談話スペースに集められる。澪は周囲を見回し、誰もいないことを確認すると、声を潜めて切り出した。 「わたし、依頼を受けてここに来たんです。女子生徒さんがいなくなったことを調べるっていう…その、みなさんもそう、ですよね…?」 澪は一人ではどうしたらよいのかわからず心細かったこと、是非協力したいことを話す。 「みなさんの指示になるべく従って行動したいと思います。それがわたしにできる一番の協力かなって」 以降は、特に何もなければ世間話でもして解散となる。 【今後の探索について】 月曜日からは学校に通うことになる。学校サイクルについて説明する。詳しくは【タイムテーブル】を参照する。月曜日の朝食後、探索者全員が登校を宣言したとき、貴秋高校校内図を公開する。 【イベント】 時間を条件として発生するイベントについて解説する。 ▼集会 水曜日の朝に発生。 火曜日の夜、または水曜日の朝などに集会があることが伝えられる。ホームルームの時間に講堂で行われるようだ。 講堂での集会で理事長代理である貴秋栄華の挨拶で姿を見る。(貴秋栄華の立ち絵を開 示する)重要な職に就いている割には随分と若い。好青年といった印象。 集会の内容自体は大したことはない。終了後、学年ごとに解散する。(▼集会後の密談 へ) ▼集会後の密談 水曜日の集会後に発生。 集会が終わり教室への帰途についた探索者。 〈聞き耳〉を行う。成功すると聞き覚えのある声がする。周囲を見回すと、物陰で澪が誰かと話している。見に行くと相手は栄華であった。すでに話は終わったようで、栄華は去り、澪は教室へ戻る学生の群れに混じる。 何を話していたのか澪に聞くと「特になにも…。編入生かな?って声をかけられて、少し挨拶をしたくらいです」と答える。 〈心理学〉を行った場合、成功で「発言に嘘はなく、澪には困惑がみられる」と感じ、 失敗で「何か後ろめたそうな雰囲気がある」と感じる。 ▼体調の悪い夜半 木曜日の夕食後に発生。 夕食後、顔色の悪い夜半を見かける。声をかけると「少し体調が悪くてね…。すまないが今日は早めに休むことにするよ」と言い、自室へ入っていく。部屋から内鍵がかけられた音がする。 午後9時頃、誉に夜半を探しているのだがと尋ねられる。体調が悪く休んでいると伝えると、「そうか。ならば要件は明日にする。君たちもそっとしておいてやれ」と言って去る。 ▼夜半の失踪 金曜日の朝、登校前に発生。 朝食時に誉が「北條を見ていないか?」と尋ねる。いつもなら既に朝食をとっている時間だが姿を見せていない。体調が悪化しているのかもしれないということもあり、部屋を見に行くことに。海紺貴がマスターキーを借りに行き、先に残りの面々が向かうとなぜか部屋の鍵はかかっていない状態だった。しばらくしてマスターキーを持った海紺貴が合流する。中に入る場合は▼失踪後へ。 |