授業中に屋上で 2


 仰向けに寝かされ、見上げた視線の先には、オレを見下ろしてくる一貴。
 ――ドキドキ、する。
 これからされることがわからないほど、オレだって子供じゃない。
 まっすぐに一貴を見つめ返すと、一貴の手がオレの制服のズボンに掛かった。
 ドキドキするのは、愛撫に感じるのは、相手が一貴だから。





 手にひんやりと馴染む、ステンレス製のドアノブに手をかけ、ゆっくりと扉を開く。
 授業中だということを考えて、開いたときと同じようにゆっくり、極力音を立てないように扉を閉める。
 視界に飛び込んでくるのは、どこまでも青く澄んだ空と、地平に近いところに僅かに漂う白い雲。
 さえぎるものが何もない空間を、左から右へ、ぐるりと見渡す。最後に視界に入った給水タンク。それを囲うフェンスに寄りかかるようにして、一貴が立っていた。
 そして、その正面に女の子が一人。
 何か、言葉を交わしているみたいだけど、この距離では聞き取れない。
 と、女の子の華奢な手が、一貴の首に掛かった。
「―――!」
 心臓が、嫌な音を立てて跳ねた。





「力、抜いて」
「ん……、ん……」
 初めて受け入れた一貴の指先。探るように進むそれは、簡単に快感を与えてはくれなかった。
 感じたのは、痛みと、異物感。
 ゾワゾワと、わけもなく背筋が震える。ローションを足してはグイッと押し進められるたびに、言いようのない不快感を覚える。
 それでも不思議と、嫌だとは思わなかった。
 ギュッと目を瞑って耐えていると、不意に、一貴の空いている手がオレの下腹部へと伸びた。
 すっかり萎えてしまっていたそれを握りこむと、緩く揉みしだく。
「あっ、あ……」
 どうしたって感じてしまうその動作。そっちに気を取られている隙に、いつの間にか指が根元まで埋まっていた。
 ズル、と抜かれた拍子に指先が何かを掠め、さっきとは違った戦慄が背中を走る。
「あ、――あぁ……っ!」
「感じる?」
「………」
 感じる? オレ、感じてる?
 戸惑う心とは裏腹に、体の順応は早かった。
「ああっ! あ、あっ!」
 再び奥まで埋め込まれた指。抜いてほしいような、抜いてほしくないような。
 だけど思うのはひとつ。もう一度あの感覚を味わいたい。
「カズ……!」
 そのときオレは、一体どういう顔をしていたんだろう。
「那由、気持ちいい?」
「んっ、い、いいっ……!」
 中を広げるように複数の指で慣らされ、あられもないところを舐めあげられ、普段なら絶対に出ないような甘ったるい声を漏らし、涙と涎でぐちょぐちょの顔で、乞われるまま、気持ちいいと叫んだ。


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