ニコチアナ | ナノ
×
人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -


  裸のつきあい


「熱くないか?」
「‥‥‥‥わるくない」

わしゃわしゃとリヴァイの頭を洗い、いくよーとシャワーでお湯をかけて泡を流してやった。
ぷるぷると動物のように頭を振るリヴァイをぼーっと眺め、思う。

疲れた。



×××



これからここに住むのだったら家の中の事を色々と教えなくてはならない。
ぶっちゃけると、ことあるごとに「あれは何だ」「これはどう使う」と聞かれるのが面倒くさいと言うのが本音だ。

と、いうことで。
余る服の裾を縛り、引きずらないようにしたリヴァイを連れて各部屋を全て回り、リヴァイからの質問に一つ一つ懇切丁寧に答えていった。
生活に必要な家電などの説明も終了したところで「だいたい理解した」とのお言葉を頂けたので良しとする。理解力が高いのは良いことだ。何度も説明するのは面倒なので。

ふと時計を見ると7時半を回っていてリヴァイが目を覚ましてから2時間弱が経っていた。
こんな時間か、と呟くと、足元でこちらを見上げているリヴァイからなんだ、と声が上がる。

「そろそろ晩ご飯だと思って。何か食べる?」
「くう、といいたいところだがそのまえに、ミト」
「なに」
「ふろにはいりたい」

‥‥‥‥風呂、とな。
余りにもいきなりな発言に動きを止めた俺だったが、なるほどと納得した。
雨に打たれていたリヴァイをタオルで拭いただけだったので身体に違和感があるのだろう。
自分の腕を手で擦っては舌打ちをしているリヴァイを見て、そこまで嫌ですかと内心ため息を付きながら了承の意を返した。

「‥‥‥‥風呂、場所は分かるか?」
「ああ、もんだいない」

小走りで風呂場へ向かうリヴァイの背に着替えを持ってくると声を掛けてから、俺はくるりと方向転換をした。



×××



リヴァイがご飯食べてる間に俺も入っておくか、と畳んで置いていた寝間着を手にとって部屋を出た。
途中、新品のバスタオルを引っ張り出してきたせいで布まみれになりながら脱衣場の扉を開ける。
棚に着替えを置きながら、やけに静かな風呂場に使い方が分からないのかと思い、声を掛けようとした時だった。
小さな驚きの声とドシンッという大きな音が響いた。
流石に放っておく訳にはいかないので、開けるぞ、とユニットバスの引き戸を引いた。

「大丈夫か、ぶっ!!?」

座り込んでいるリヴァイが目に入った瞬間、顔に勢いよく水が掛かってきた。
すぐにそれは止まったものの、顔だけでなく全身までもがびしょ濡れになってしまった。

「‥‥‥‥わりぃ」

足を滑らした、と謝るリヴァイに大丈夫と返して髪から落ちてくる雫を払う。

「このまま俺も入っていい?水が鬱陶しい」
「かまわない」

俺は返事もそこそこに肌にへばり付く服を脱ぐと水が滴るそれらを洗濯機に投げ入れた。
ユニットバス内に入ってすっかり冷えてしまった身体を軽く洗い、浴槽へ浸かる。
温かさに身体の力が抜けた。

「ふぅ‥‥‥ん、何?」
「いや‥‥‥」

かちりと合わさった視線に問いかけるもふいっと顔を逸らされてしまった。
何なんだと暫くそのままでいると、リヴァイが背伸びをしてシャンプーに手を伸ばし始めた。
必死になってとろうとするが、子供の身体には高い位置にある容器には届きそうもない。
仕舞にはぐらりと身体をよろめかせるものだから咄嗟に手を出してしまった。
きょとんとした顔で見上げてくるリヴァイをよいしょ、と立たせてからぽんぽんと頭に手をのせる。

「‥‥‥無理なら言え。とってあげるから」

倒れるのは勝手だけど音が五月蝿いのは嫌だし。
わかった、と俯き加減に言うリヴァイの頭をひとなでしてからシャンプーを手に取った。


で、気付けばリヴァイの頭を洗っていた。
何故だ。

髪の水分を拭き取ってやり、終わったぞとタオルをのけた。

「体は自分でやれよ」

頷くリヴァイに石鹸とスポンジタオルを渡し、自分の髪を洗い始める。
やはり、縮んだ身体は慣れないらしい。後ろでぎこちない動きで体を洗うリヴァイから視線を外す。
俺には関係ないし。勝手に慣れていくだろう。人間そんなものだ。

突然、泡が目に入って反射的に強く目を瞑った。

冷蔵庫に何か入っていたっけ、

少々嫌な事が頭を過ぎった。

prev / next

[ back to top ]