ニコチアナ | ナノ
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  どうもよろしく


子供もといリヴァイが目覚めてから数時間。俺達は互いのことと現在の状況について話し合った。
その結果俺が分かったことは、リヴァイが本当は20歳でウォール・シーナの地下街在住、ゴロツキと(簡単に略すと)いうことだった。

驚くべき事に、リヴァイの話の中で出てきた“巨人”や“壁”という謎の単語、反対に俺が話した“日本”や“海”、“携帯”というものがリヴァイの知識の中に無かった。
それらを踏まえて俺達が導き出された答えは“リヴァイが異世界からやってきた”というものだ。

本当に異世界なんてものが在るのかどうか俄には信じ難いことだが、互いの一般常識の噛み合わなさと目の前にいるリヴァイという存在がそれを否定する。

まあ、これ以上考えると途方もない自問自答のサイクルに陥るし、めんどくさいので止めるとこにした。なによりまた機嫌を損なわれても面倒だ。

「‥‥あの、これからどうするんですか?」
「あ?」
「異世界?からその身一つ。しかもその身体は幼児化。なので、」

話している最中だというのに言葉を手で制されてしまった。何ですか、と問うと鋭い視線が返ってきたので、何か変な事でも言ってしまったのだろうかと思った時リヴァイさんが口を開いた。

「それをやめろ」
「‥‥‥それ、とは」
「そのくちょうだ」

気持ちワリィ、と吐き捨てるように言われ、「何様だこいつは」と心の内で反論しながらも理由を述べる。

「リヴァイさんの方が年上だったのでこうしたのですが」
「べつにいい。それと“さん”もつけるな、むしずがはしる」
「虫唾‥‥‥‥うん、やめておく」

本人を目の前にして“気持ちワリィ”“虫唾が走る”なんて言うか普通。
これが世界の違いなのか、としみじみ思っていると再び睨みつけられていることに気が付いた。

「てめぇ、いまおれがはなしていたこときいてたのか」
「‥‥‥弥刀」
「あ?」
「俺の名前、弥刀」
「‥‥‥ミト、きいてなかったのか」
「ああ」

ごめん、と言ってから何だった?と続きを促した。そんな俺に対してリヴァイは舌打ちを一つとあからさまに嫌そうな顔をしてきた。
いや、本当に悪かったって。

「ここでせわになりたいといった」
「俺の家で?」

ああ、と返事を返したリヴァイは不意に窓へと視線を移して黙ってしまった。
俺は何を考えているか分からない、子供の身体には似合わない仏頂面(俺も人のことを言えた義理ではないが)を見つめる。

「別に構わないよ」

俺が発した言葉は静かになった部屋にやけに大きく響いた。
リヴァイは窓の外を見つめたままお前は、と零す。

「ほんとうにしんじているのか」

何を、とは問わなかった。
俺は何も言わずにリヴァイと同じように窓の外へと顔を向ける。
いつの間にか太陽は沈んでいた。

「へんなやつだ‥‥‥おれならぜったいにしんじない。“なにふざけたことぬかしてやがる”とあいてをつぶすだろうな」
「‥‥‥‥‥」

潰す、か。
まあ、潰すまでいかなくとも普通ならそう簡単に信じられる事ではないだろう。
でもそれは“普通”だったらの話だ。生憎俺には関係無い。

「信じる、信じないの問題じゃない。俺はただ“リヴァイ”を受け入れるだけ。俺はリヴァイが何しようがそれをそのまま受け入れるだけ。リヴァイが好きなようにここで暮らせばいい。それだけのこと」

ゆっくりとリヴァイに視線を戻すと、丁度こちらを向いたリヴァイと目が合った。
リヴァイはふむ、と言ってからベッドに立ち、椅子に座る俺を見下すような高さになる。

「おまえ‥‥‥ミトはへんなやつじゃないな。ていせいしよう、きもちわるいへんなやつだ」
「‥‥‥知ってる」

そんな事、俺自身が一番良く解ってる。
本当に変だ、と呟くリヴァイの頭にぽん、と手を乗せた。

「まあ‥‥‥‥これからよろしく、かな」
「さわるな」

べしっ、と勢い良く払われた手を擦りながらリヴァイを見上げた。

「‥‥‥‥せわになる」
「ん、」

あーあ。
本当にめんどくさいことになってしまったようだ。

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