クロッカス | ナノ
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▽ 少年と力


三年前のあの事故から俺は変わった。
力を手に入れたんだ。

最高に気分が良かった。
矢島に助けて貰う必要もなくなったし、新しい友達もできた。理沙子のことも守ってやれるさ。

このまま全部うまくいく、そんな気がしてたんだ。



×××



「来い、来い、来い、来い、来い、来い来い来い来い来い‥‥‥‥」
「浩一ィ!!お前本気でやるつもりなのか!!?」
「って話しかけんなよ!集中してんのにィ!!」

あぁ、ホラ、また、邪魔しに来た。
強い、強い矢島クン。
好きな子を守れる矢島クン。

「お前はまた自分から危険な目に遭うつもりかよ!?あのロボットとお前が関係してるから昨日も襲われたんじゃないのか!?」
「‥‥‥‥‥」

昨日は本当に驚いた。
変なバケモノと生死をかけて闘うことになるわ変なでっかいロボットに助けられるわ。
しかもでっかい方のロボットは三年前に建設現場で俺が見たロボットに間違い無い。

「確かめたいんだよ‥‥‥あのロボットが本当に俺の味方なのか」

「もし、味方であるなら」

なによりも、

「俺はあの力が欲しい!!」

「バカか!!相手は得体の知れないロボットなんだぞ!!大体あんなモンが存在してるコト自体‥‥‥!!」

また矢島が俺に説教を始めたが、無視してロボットを呼び続ける。

「浩一‥‥‥」
「なんなんだよ矢島ァ!?お前いい加減に‥‥‥!!」

しろよ、と続けようとした言葉が、矢島の「違うのが来たみたいだぞ」という声に遮られた。
そして次の瞬間、すぐ目の前の川にでかい音を立てて俺が呼び出したかったのとは違うロボットが三体空から降ってきた。

「バケモノの次はロボットかよ‥‥‥」

まさに一触即発、といったところか。お互いに睨み合って、ジリ、とロボット達が距離を詰めてくる。
正直、生身じゃ勝てやしない。怖い。

「でも、ナイスな展開だよ」

アイツは絶対くる、そんな確信があった。

ロボット達からの攻撃をすれすれで避ける俺と矢島に、容赦なく連続してくる。
手や足での攻撃をかわしきったと思ったら、今度は目の前に銃口を突き付けられた。
頭のすぐ上を撃ち抜いたそれに足が震える。
俺を呼ぶ矢島の焦った声が聞こえた。

「来い、来いっ、来いっっ!!俺が来いって言ってるんだ!だから来いよォ!!!」

カッ、と目の前が真っ白になった。
と、思ったら背後からドォンッッ、という爆音。

「‥‥き‥‥来た」

確かに、三年前のアイツが、昨日のアイツがそこにいた。
やっぱりコイツは俺の味方チカラだったんだ!!

ロボットはバシュッ、と身体の真ん中から何かが飛び出して、まるで乗れと言わんばかりに俺に向かって手を伸ばしてきた。
俺は矢島の制止の声を聞かないでロボットに乗り込んだ。

「心配するな矢島。今度こそ俺が守ってやるよ」
「浩一!!」

「浩一‥‥何故だ。何故お前はそこまで力を欲しがるんだ‥‥‥‥!?」

もう守られてるだけの俺はいないんだ。

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