第四話・少し変化した放課後・


特殊クラスがどんなに遅れた者の集まりとは言っても、どんなにその連中が不意打ち登校にも関わらず欠席なしの頑丈集団であれど
やはり昨日の今日だ
学校は建物のところどころにダメージを受けているから早々と修理を開始したいのが当然で
本日は午前中のみとなった

修理業者は午後から仕事を開始するらしい
しかも明日から休日であるから二日と半日で出来る限りの修復を試みることだろう

でもそんなことなら何故登校させたんだという文句がクラメイト全員の本音だったりするが誰も表には出さなかった

そうこうしながら四時限目も無事終了しHR、終われば各々が帰り支度を開始して教室は下校前の最後の賑わいで包まれた


「あー!やっと終わったぁーあ!お休みだよチィリカー!」

「・・・そう、ですね」

大声で嬉しそうにマリカが言えばチィリカが頷く

帰り支度が出来ればシュネィヴァも二人と合流しいつも通り帰ろうとし

「シュネィヴァさーん、一緒に帰りましょー」

ザワッ!?


「・・・あー」


・・・たところに笑顔の姫祇がぱたぱたと走りよってくる
勿論クラスは当たり前のようにざわめいた

「あの姫祇さんが帰りに他人を誘うだと!?」
「しかも相手はあのシュネィヴァ?!」
「嘘だろう?!姫祇さんはやはり力のある奴を選ぶのか!」
「それでいてマリカとは親友、そしてもう一つの聖域であるチィリカさんとも仲がいい・・・」

「「「シュネィヴァの野郎・・・!!」」」


嗚呼、俺が何かしたのか神様
クラスの男子(マギリを除く)全員に覚えのない恨み辛みをぶつけられる日が来るなんて思ってもみなかった


「・・・チィリカ、頼むから俺と姫祇の間に入ってくれ」

「・・・え?」

「いてくれるだけでいいから」


そう言えばチィリカはしばしシュネィヴァと興奮する男子共とを数回見て意図を悟ったのか大人しく姫祇の隣についてくれる

するとクラスの目線が高嶺の花と聖域の二人に集まりだしシュネィヴァへの呪怨を一時的だが止んだ

「なんか皆わかりやすい、ね?シュネィヴァ」

「全くその通りで」


マリカとそう頷き合い、数分後クラスの人間が帰り出すと同時に四人も教室を後にした



「ふへー、結構影響があったんだねぇ」

「分かりやすいのは窓ガラスだな・・・殆どひび割れてるか全壊じゃねぇか」

「・・・あ、それは蟹の・・・影響じゃないです」

「へ?じゃあ何で割れてるの?」

「・・・レクさんの魔術の爆風が・・・」

「「え・・・」」

「エクスプロードォ!だよ!チィリカさん」


廊下での雑談
最中に明かされた重大な事実に(何故か)はしゃぐ姫祇を除く三人は少し青くなった

バレたらヤバいよこれは、うん、聞かなかったことにしよう


「なぁマリカ、お前この後どうする?」

「えっ?う、うーん・・・いちお一回戻ろっかな、て」

話の振りが急すぎたのが悪かったのかマリカは少し困惑気味に答える


「そっか、じゃあチィリカは」

「・・・私も一度両親に・・・簡単に話してみます
・・・流石に世界が違うとか、姫祇の話しはしません、けど
シュネィヴァは・・・?」

「うーん、とりあえずアイツ等の様子も気になるし・・・一度別れてから各自話をつけてまたどこかに集まるか?」

確認のように二人を見ると同時に頷く
これでとりあえず次やるべきことは決まった


「もしかして、皆で一緒に帰れない?」

「あっ、そうだねぇ
姫祇一人だとちょっと心配?」

「うん・・・、今日は誰も一緒じゃないから」

「誰も?レクとテュリは一緒じゃない・・・か、居たらもう出てきてそうだもんな」


そういえば昨日は小人姿であの二人が姫祇の護衛をしていた
でも何故か今日はついてきていない


「ティルータを近くに停めたままだしな・・・仕方ないから俺が送るか」

「・・・!シュネィヴァさんと一緒!うわーい!」

些細な言葉の筈なのにそれにすらおおはしゃぎで喜び、ついでに抱きついてくる姫祇


「・・・仲良しですね」

「言うなチィリカ!姫祇も離れろ!」

「えー、ケチー・・・」

「あのなぁ・・・」



「ハッ!!」

「・・・?マリカ?」


騒いでいた中珍しくマリカが目を見開き立ち止まる
その様子にチィリカが気遣わしげに近寄ると今度は慌て


「わたし教室に忘れ物しちゃった!!シュネィヴァ先帰って!チィリカ着いてきて!」
「え・・・?マリカ・・・っ!?」


と半ば叫びながら二人は走り去っていった
取り残される二人


「・・・マリカさんどしたのかなぁ?」

「さぁ・・・何か変だったが・・・言われた通り帰るとするか姫祇」

「はい!」


姫祇の返事を聞き玄関へと歩き出す


「ほぉ?公共の場でデートとは随分とまぁ調子が良さそうだ」


世界で最も聞きたくない声が耳に入ったのはその時だった

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