JKに振り回されても鬼灯は冷徹 | ナノ


  じゃあ、あなたでいいよ


「えぇ〜そうなんだ。まいちゃん若いのに…」
「そーなの!まいもさーまだまだやりたいことあったよ〜」
「だよねぇ、夢がいっぱいある年だもんねぇ」

自縛霊として現世をさまよっていた女子高生と地獄の裁判官、閻魔大王が和気藹々と話し合う姿は遠目から見ても異様な光景だった。

「閻魔大王、おしゃべりは結構ですが仕事してください。仕事」

口調こそ柔らかいものの、その目から放たれる殺気に閻魔大王は身震いした。

「わ、わかってるよ」
「え〜閻魔ちゃんもう終わり?まい退屈〜」
「ごめんごめん、また終わったら聞くよ。」

まいは唇を尖らせてすねた顔をした。
そして自分の楽しい時間を壊しにきた鬼灯に恨みがましい視線をあてつけた。
鬼灯はその視線を感じながらもないもののように踵を返して自分の仕事へ戻っていった

「つまんないの…」

***

「はぁ〜長かった!亡者裁くのって体力もだけど頭使うからしんどいよ。」

閻魔大王が最後の仕事をやりとげ大きく背伸びをするのをみるとまいは急いでかけていった

「閻魔ちゃん!終わったの!?」
「終わったよ〜 待たせてごめんね」
「いえ、まだ問題が1つ残っています。」

2人の会話の中に堂々と入り込んだ鬼灯の声にまいは顔を曇らせた。
(もう、またコイツ?)

「閻魔大王、まいさんをどうするおつもりですか?
中立な場である閻魔殿に亡者がウロウロしているなんて前代未聞です。」
「そうなんだけど、まいちゃん得に悪人でもなさそうだし…
でも若いし徳を積んでるわけでもないから天国にも連れて行けないし…」
「え〜まい天国にいけないのぉ〜!?」

確かに平凡にただ生きてきた女子高校生に地獄に落ちるような悪行も天国へ行くような徳もあるわけがない。
その場合、転生としてもういちど現世に生れ落ちなければならない。

「じゃあ転生ですね。なにごとも仕事は速いほうがいいですから準備してきます。」

そういうと鬼灯は転生の手続きをとってきた。が、

「なにもおきないんですけど…」
「おかしいですね。なにか転生を妨げるものがあるんでしょう」
「まいちゃんやりたかったこといっぱいあるって言ってたもんね。
心残りってやつだよ。それが解消しないと転生は出来ないんじゃない?」

「また面倒な」と鬼灯の眉間にはシワがよった。

「まいちゃん。やりたいことってなんだったの?」
「え、いっぱい食べたいとかはもうここで叶ったんだけど…
『彼氏つくって毎日幸せに暮らしたい〜』とかかな。」
「それじゃない?鬼灯君。」
「じゃ、誰かが擬似的に相手になって心残りを解消していくしかありませんね。
白澤さん、と言いたいところですがアレにかかわるとろくなことが無い。」

しばらくの沈黙の中でまいは鬼灯を指差して

「じゃあ、鬼灯でいいじゃん。まいも鬼灯ならいいよ。」
「なにいってんですか、そn…」
「いいじゃない!鬼灯君ならワシも安心だし。」

閻魔大王とまいの勢いにおされた、というのもあるが
自分が相手のほうが何かと都合がいいのも確かなので鬼灯は反論もせずに仕事が増えたことに頭を抱えた。


next / prev

[TOP]

人気急上昇中のBL小説
BL小説 BLove
- ナノ -