JKに振り回されても鬼灯は冷徹 | ナノ


  夏のあなたと綿飴事情 後の幕



「そ、そんなのできるわけないでしょ!」
「おや、どうしてですか?」


解せぬとでも言いたげに鬼灯は首を傾げる。
いくら人通りの少ない屋台の裏側といってもこんなところで男の顔を舐める女がいては好奇の目を向けられることは必至である。
まいの顔も火照りを増す。


「こんなところでほ、鬼灯の顔なんて舐められないよ。見られたらまいただの痴女じゃん」
「痴女なんて言葉知ってたんですね。」
「そういう問題じゃないの。もー綿菓子のことならごめんってば!いまタオル濡らしてくるからそれで拭いてよ」
「こんなに私が頼んでもやってくれないんですか」


クッと眉尻を下げて大げさに残念そうな顔を見せる鬼灯に内心まいの心はグラリと揺らぐがここで好奇の目にさらされる方が耐えられない。


「ぜーったいに嫌!こんな所じゃできないってば」
「誰も見ませんよ」
「そんなの絶対に見ないなんて言い切れないじゃん!残念でした〜」


と、まいが言い切るのが早いか否か、
鬼灯の腕がまいの肩を抱いたかと思うとグッと引き寄せ身長差でちょうどまいの顔は鬼灯の肩に隠れる。


「もがっ!?ちょっとなにすんの!」
「あなたに拒否権はありませんよ、顔が見られるのが嫌ならこれで問題解決でしょう?さぁ、どうぞ綺麗に舐めてください」


唯一の明かりである提灯の光も鬼灯の体で隠されて視界はまっくらに閉ざされる。
しかし気配だけで鬼灯の顔がユゥッとまいの顔の高さまで降りてきて「さぁ舐めろ」と言わんばかりに静寂が包み込む。


「ね、ねぇ冗談でしょ!?」
「…。」


鬼灯はもう返事しなかった。
もう駄目だと観念しそっと鬼灯の頬に自身の唇を近寄せる。


最初は頬にする軽いキスの様に彼の頬に触れると綿飴の甘い匂いが鼻先をくすぐり同時に彼の頬がひどく甘いことを教えてくれる。
しかしやはり砂糖菓子ではあるのでキスをした頬がベタリとくっつく。
そこにもう一度キスしてそのままぺろりと舐めると甘い甘い綿飴の味が残る。
顔から火が出るように熱いが片方の手でそっと鬼灯の頬に手を添えて残る部分を綺麗に舐め上げる。


「ん…チュ、、これでいいでしょ!」
「ふふ、どうしてそんなにやらしい舐め方しかできないんですか?まいはHですね」
「んなっ…!」


体中の血液が顔に集中したかのような錯覚を覚える。
急いで離れようとするも鬼灯の腕はそれを許してくれない。


「ひゃ…」


その瞬間に鬼灯の唇がまいの首筋に吸い付く
今日は浴衣姿なのでまいの長い髪も綺麗に結い上げられている。
そのあらわになった首筋を鬼灯の少し乾いた唇が滑り、ときおり強く吸い上げる。


「…はい。ご褒美です」
「ま、まさか…」


ようやく鬼灯はその手を緩め彼の唇を軽く拭う。
まいは手提げから小さい鏡を取り出して自分の首筋を確認する…と案の定赤い内出血の跡が2つくっきり残っている


「うわー!!もう!もうばか!どーすんのこれぇ!?」
「おや、気に入らないんですか?」
「場所選んでよ!今日髪の毛上げてるんだからこんなとこにつけたらバレるでしょ!」


まいが首筋を押さえておこる姿を鬼灯は少し目を細めて眺めた
合流した白澤が彼女の首筋のキスマークを見て憤慨するのは目に見えたことだ。

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