JKに振り回されても鬼灯は冷徹 | ナノ


  タイプの女



「へぇ〜地獄なのに現世のテレビみれるんだー」
「そうです。私もよく見ますよ」
「え〜うそだー。鬼灯テレビなんて見ないでしょ。」
「失礼ですね、私もテレビをみて楽しむこともあるんです」
「逆に何見るわけ?A○Bとか?」


某アイドルグループの名前を出しても鬼灯はさも興味なさそうにお茶をすすった。
食堂でご飯を食べる鬼灯とその横に座っているまいは食堂にあるテレビを見ている。
普段は地獄関連の番組しかしていないがどうやら見ようと思えば現世の番組も受信できるらしい。


「まいちゃん。鬼灯君はね世界の不思議を発見する番組がすきなんだよ。」


ひときわ目立つ大きな体の閻魔大王がシーラカンス丼を持って2人に近づく。


「クリスタルヒ○シ君とかもう君2個目だもんね。」
「マジ?不思議発見ってここが一番不思議じゃん」
「地獄には無いタイプの不思議が見れて飽きないんです。」


一足早く食事を済ませた鬼灯は時計を確認して空になった茶碗などを片付ける


「え?鬼灯もう行くの?」
「今日は仕事も比較的少なく早く終わったので部屋に戻ります。」


「待ってよ〜」といいながらまいもあわてて着いていった。


鬼灯の部屋は相変わらず書物やらなんやらが溢れかえっていた。
触れれば倒れてしまいそうなほど積み重なった本の山の間を鬼灯はすり抜けるようにして進みベッドの上に腰を下ろした。
リモコンを手にしてテレビの電源をつければ先ほど話していた【世界ふしぎ○見】が始まろうとしていた。

どうやらこれが見たくて食堂を早く抜けてきたらしい。
遅れてまいが彼の部屋に到着する
ベッドに腰掛けてテレビを見る鬼灯の姿を確認すると本の山を倒さぬよう慎重に近づき隣に腰掛けた。


「お、噂をすれば…ホントにコレ好きなんだ。アイドルには興味ないの?かわいい子いっぱいいるよ?」
「興味ない、といえば嘘になりますが特に見ようとは思いませんね。」
「ふーん、鬼灯って好きなタイプとかいるの?イメージ全然湧かないんだけど。」


「そうですね…」とつぶやいた後ゆっくりとテレビ画面に向けて指をさす


「ミステリーハンターのこの人は結構好きです」


画面の中で巨大な幼虫を臆せずに触る素朴なお姉さんにまいの目は釘付けになった。


「え〜ちょっと地味ー。あんまり派手じゃないほうがいいんだ?」
「そうとは限りません。まぁ限度がありますけど、あんまり姦しく騒ぎ立てない肝の据わった驚かないところがいいんです。靴連れしただの血の池に落ちるだの毎度毎度騒がしいまいとは大違いです。」


「うっさいな!わかってるよ!自分がうるさいことぐらい!!」
「そうやって騒ぎ立ててる時点でもうすでに騒がしいですよ」
「どーせ!まいは鬼灯のタイプとは違いますよーだ!むしろ逆ですからっ」


フンッと鼻息荒くまいはそっぽを向く
確かによく問題を起こすしすぐ怒って怒鳴るし騒ぐ。しかもミステリーハンターのお姉さんみたいにあんなでっかい虫を触るなんてできない。これからもあんな人間になることなんて自分の性格上、無理だ。
鬼灯のタイプとは程遠い。でも、でも…


「そんなハッキリ言わなくてもいいじゃんー、ばかぁ〜」


悔しさやら悲しさやら情けなさやらでボロボロと涙が零れ落ちる。
擦って涙を拭うもとめどなく溢れる。
鬼灯に背を向けたまましゃっくりをあげながら泣く。
あぁ、どうせまた泣きじゃくって騒がしい女って幻滅するんでしょ
そう思うと余計涙が止まらない。


黙ってまいの背中を眺めていた鬼灯だがひとつため息をついたあとまいの肩をつかんで自分側に引き寄せる


「うわっ!?」


いきなり後ろから引っ張られ抵抗するまもなくまいは仰向けにベッドに倒れる。
鬼灯は間髪を置かずにまいの上に組み敷きまいの眼前には鬼灯しかみえない。
スッと鬼灯の手がまいの方へ伸びる。反射的に体をこわばらせたが鬼灯の手はまいの頭を優しくクシャクシャと撫でる。


「まさか泣くとは思ってませんでした。本当にまいはイジりがいがありますね。まさかここまでへこむなんて」
「だって…!誰だってあんなこと言われたらショックじゃん」
「まぁ本音なんですけど、」


そういって鬼灯の顔が近づいてくる。
チュッと唇が触れる軽いキスがおでこに、頬に、鼻先に、瞼に…


「かくいう私もこんなじゃじゃ馬から目が離せないんですから」


そういって唇にキスを落とした

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