2000年後もラブソングを


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Devote bath time to you


2


リヴァイさんがもらった入浴剤は「ミルク」と言うことで、その名前の通り、乳白色のどこか甘い香りがお風呂場に立ち込めていた。


「入っていいか?」
「は、はい。どうぞ…!」


先にお風呂に入った私は、そそくさとその乳白色のバスタブに入り、リヴァイさんが入ってくるのを待った。


「…………」


当然、入ってきたリヴァイさんには背を向けてるわけだけど。
私のその姿を見て、この人今呆れた顔してる、って、顔を見なくてもその沈黙で伝わった。
ザバァ、と、音を立てて、リヴァイさんがバスタブに入ってきた。


「………甘…」


そう呟いてから、バスタブでふぅ、と息を吐いた。


「『ミルク』っていうより、『バニラ』って感じですね。」
「あー、そうだな。」
「この匂い、湯上りの体に染み込むんですかね?」
「さぁな。」
「で、でも、リヴァイさんにこの匂い、って、つもりで部下の人買ったんですかね?それもなんかすごっ!?」


ドキドキとする心音を隠すかのように、いつになくペラペラと話していたら、後ろから体を引っ張られ、足の上に横向きで座らされた。


「『リヴァイさん、年下の彼女さんいるんですよね?その人と使ってください』そう言われた。」
「…そ、そう、なん、です、ね…!」


足の上に座らされたことで、リヴァイさんの顔はモロ視界に入ってくるし、水面から私の胸は出てしまうし、乳白色のお湯の中ではなんだか足に当たってる気もするし…!
どこをどうするのが正解かわからず、とりあえず手で胸を隠しながら、目を思いっきり泳がせていた。
その時、


「!」


リヴァイさんが濡れた私の体に顔を寄せてきた。


「この匂い、確かにお前には合うかもな。」
「……そ、です、か…?」
「あぁ。」


鎖骨辺りに顔をつけ、すんすんと、匂いを嗅ぐような仕草をするリヴァイさん。
それがなんだか恥ずかしくて、


「リヴァイさんにも、合いますよ。」


少し体を引きながら答えた。


「合うわけねぇだろ。」


そう言って自分の髪をかきあげたリヴァイさん。
濡れた手で、かきあげたものだから、普段はサラサラと流れている髪が湿って、この場所限定のオールバックになった。


「な、んか、」
「うん?」
「その髪も、合います、ね。」
「……あ?」


私の言葉に、何言ってんだお前?とでも言いそうな顔をしてきたリヴァイさん。


「この髪型ですよ。意外とオールバック、似合うと思いますよ。」
「あ。」
「え?」


私がリヴァイさんの髪を撫でながらそう言うと、リヴァイさんは短く声を出した。


「どうせ一緒に入ったんだ。髪洗ってくれ。」
「え?」


リヴァイさんの髪を撫でていた私の手首を掴みながら、そう言ってきた。


「………」
「嫌なら別に体でもいいんだぞ。」
「髪!洗います!」
「そうか。」


リヴァイさんの言ったことを、脳内で繰り返して理解しようと少し時間がかかったら、リヴァイさんが更なる難関、「体を洗うでもいい」なんて言ってきて。
髪か体かなんて言われたら、そりゃあ髪を選ぶと思う。
ん、だけ、ど………。


「あの、」
「なんだ?」
「…………目、瞑ってくれません、か?」


2人でバスタブから出て、リヴァイさんが前に座り、私が後ろに立って、じゃあ洗おうか、ってなった時。
リヴァイさんが体を仰け反らせ、お湯が顔にかからないようにしてくれたまではいいんだけど、何故かその体勢のまま、目を瞑ろうとは、しなかった…。


「なんで?」
「え!?…シャンプー、が、目に、」
「入るように洗うな。」
「…けど、人の髪洗うなんて、初めてで、」
「………」
「見られてると、緊張する、と、いうか、」
「そうか。」
「はい。」
「じゃあそのまま洗ってくれ。」
「……………」


私の話、聞いてます…?
って、言うくらい、私の訴えを丸っと無視して洗え、と言ってきたリヴァイさん。
しかも物凄く見られてるんですが…(位置的に胸もモロ見えるし…!)
……すっごく………やりにくい………。
どうしよう、どうしよう、なんて思っていたら思わず、


「っ!?てめ、」


リヴァイさんの顔にシャワーのお湯をかけていた…。
顔を濡らされたリヴァイさんが目を瞑った隙に、サッ、と、両手で両目を覆った。


「目、瞑って、ください。」
「…」
「見ちゃ、ダメ、です。」
「……」
「見るなら、洗いません。」
「………わかった。目瞑ってるから早くしろ。」


リヴァイさんは目を閉じたまま、大きくため息を吐いた。

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bkm

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