2000年後もラブソングを


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Devote early summer to you++


4


どうしてそういう行動に出たのか、と聞かれたら、正直困る。
だって、自分でもどうしてそうしたのか、わからないんだから…。
ただ、


『すみません、明日行けなくなりました。』


リヴァイさんの家での件があってから、それはまるで逃げるように、リヴァイさんと会わないようにしていた…。




「…………」
「…………」
「…………」
「…俺忙しいんだけど、帰っていいか?」
「ファーラン。」
「うん?」
「…………」
「だからなんだ?」
「どうも避けられている気がする。」
「は?誰に?」
「…………」
「(なんで黙る…、て、まさか、)フィーナちゃんのことか?」
「…………」
「(おい、図星かよ…)なんだ?何した?何があった?」
「…別に。」
「お前な、別に何もなく避けられるわけが、」
「誤解のないように先に言っておくが、」
「うん?」
「俺はされたことをしたまでだ。」
「あ?」
「………」
「(『されたこと』?って、なんだ?フィーナちゃんがリヴァイに先に何かした、ってことだよな?何だ?聞いてる話からだと、クッキー作ったってのしか思い浮かばねぇぞ…。コイツがクッキー作ってやったのか?そんな馬鹿な…)お前、さすがにそれしかヒントねぇのは俺でもわかんねぇ、って。」
「繰り返し言うようだが、俺が先に『された』んだからな?」
「あぁ、そこはわかった。フィーナちゃんがお前に何かしたんだろ?で?何したんだ?」
「…夏前の話だが、」
「うん?」
「熱出て寝てる俺にあのガキ、キスして行きやがった。」
「……………ちょっと待て、お前それってつまり何か?『お前』がしたのか?フィーナちゃんに!?」
「だから俺は『された』ことをしたまでだ、と、」
「ふざけんな!フィーナちゃんがするのとお前がするのとじゃ全然違うだろうがっ!!お前何やらかしてんだよっ!!」
「…なんでだろうな?帰ってきてソファで寝てるアイツを見たら、」
「いやちょっと待て!まずなんでソファで寝てんだよっ!?その状況がおかしいだろ!?」
「………雨が酷くてアイツの学校から駅マック行くよりも近いうちで勉強見てやることになったんだが、そういう日に限って女がマンション近くまで押しかけて来て、あれ以上めんどくせぇことになる前にきっちり別れてこようかと、一旦家出て帰ってきたらソファで寝てた。」
「(もうツッコミどころありすぎて、どっからツッコミ入れればいいんだ…)」
「別に『女』の寝顔が初めてなわけでもなければ、色気があるような寝方だったわけでもないんだがな。」
「(あぁ、もう…)」
「それどころか、顔だって特別『美人』なわけでもねぇし、服の上から見ても平らなのがわかりきってるような体型の『ガキ』になんでだろうな?」
「…………なんでも何も、」
「あ?」
「病気なんだよ、お前…。しかも俺じゃ治せない。」
「…かなり腹立つ言い方だが、この際そこはどうでもいい。」
「(よくねぇだろ…)」
「それでまぁ、その時にされたことをし返したわけだが、どうもその後から避けられてる気がする。」
「……そりゃお前、」
「うん?」
「嫌だったんだろ?単純に。」
「…………」
「(コイツ本気で凹んでる…)避けられてるってどのくらい?」
「ちょうど2週間だな。週2で見てる勉強、先週は委員会だとか先生に居残り言われただとかだったが、今週は風邪が長引いてるそうだ。」
「完璧に避けられてるな。」
「……」
「まぁ、さ、」
「あ?」
「いい機会だ。もうフィーナちゃんに会うのはよせ。」
「…あ゛?」
「だってそうだろう?お前誰がどう聞いても逃げられてんだよ。ならこのまま逃がしてやって、」
「……」
「あ?なんだって?」
「…あんなガキに、そう簡単に逃げられると思われてるのが心外だ。」
「………………」
「お前と話してたらだんだん腹立ってきた。今から会って来る。」
「あ、おいっ!…………やっぱり俺がアイツを犯罪者にしちまうのかもしれない…。」




「せん、せい…」


その日も家庭教師の日だったけど、Lineで前もって行けない旨を伝えていた。
ん、だけ、ど…。


「よぉ、元気そうだな。」


さぁ、帰ろう、と言う時、校門を出たらリヴァイさんが立っていた。


「ど、したん、です、か…?」


突然のリヴァイさんの登場に、驚きを隠せないどころか、今すぐにでも逃走したい思いに駆られた当時の私。
それを知ってか知らずか、


「どうしても何も、お前に会いに来ただけだ。」
「え、」


何言ってやがると言う勢いで、サラリと言葉を返して来た。


「な、なん、で…?」
「あ?ここしばらく都合がつかなかった上、寝込んだらしいから心配して来てやったんじゃねぇか。」
「そ、う、なんです、ね…。」


少し前までなら、その言葉にわー!と、興奮していたと思う。
だけどこの時はひたすらに、どうしようどうしよう、と、目を泳がせていた。


「まぁ、元気そうで何よりだな。」


無表情で私を見てくるリヴァイさんを直視出来るはずもなく、ただただ、キョロキョロと辺りを見ていた。
今思えば、私の子供染みた手法、リヴァイさんが気づいていないわけないと断言出来るけど、何を思ったのか、この時の私は「嘘がバレたんじゃ、」と、ただただ動揺していた。


「今日は家庭教師はいいって話だったが、」
「…」
「お前も元気そうだしせっかくここまで来たんだ、見てやる。」
「…え!?い、いいです、私別に、」
「遠慮するな。あぁ、そう言えばここから駅マックに行くよりうちの方が近かったな?じゃあうちに行くぞ。」
「え!?ち、ちょっ、」


バッ!と、私の手を掴み、リヴァイさんは歩き出した。
…後になってリコちゃんが言っていた。
なぜこの時リヴァイさんがこういう行動に出たか、と言うと、このくらいの時期は多感な時期で。
「学校帰り、校門までわざわざ迎えに来て手を繋ぎ帰っていくような年上の男がいる」と言う話題が、話の的にならないわけがなく…。
学校に行っている間は自分の預かり知らぬところだけど、「噂」と言う形で私の逃げ場を無くそう作戦だったんじゃないか、って…。
そんなこと思いもしない私は、なんで今手を繋いでリヴァイさんの家に向かわなければならないんだ、と、それ以前の恋をしてのドキドキとは違う意味で、ドキドキとしていた。

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bkm

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